Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般ポスター
体表:乳腺・甲状腺・表在・その他

(S522)

甲状腺inflammatory myofibroblastic tumorの一例

A case of inflammatory myofibroblastic tumor of the thyroid

山本 晋1, 村上 司1, 野口 仁志1, 渋谷 寛2, 内野 眞也2, 野口 靖志3, 山下 裕人4, 野口 志郎2

Shin YAMAMOTO1, Tukasa MURAKAMI1, Hitoshi NOGUCHI1, Hiroshi SHIBUYA2, Shinya UCHINO2, Yasushi NOGUCHI3, Hiroto YAMASHITA4, Shirou NOGUCHI2

1野口病院内科, 2野口病院外科, 3野口病院放射線科, 4野口病院病理部

1endocrinology, Noguchi Thyroid Clinic and Hospital Foundation, 2Surgery, Noguchi Thyroid Clinic and Hospital Foundation, 3radiology, Noguchi Thyroid Clinic and Hospital Foundation, 4pathology, Noguchi Thyroid Clinic and Hospital Foundation

キーワード :

Inflammatory myofibroblastic tumorは一般に肺に認められることが多く,甲状腺に発生する例は非常にまれである.今回我々は超音波検査にてpapillary carcinomaが疑われ,手術病理組織検査にてinflammatory myofibroblastic tumorと診断された1例を経験した.
【症例】
84歳女性.
【現病歴】
頚部腫瘤を自覚し近医受診し,頚部CTにて甲状腺右葉に腫瘤を指摘され,精査加療目的にて当院紹介受診した.
【現症】
甲状腺右葉から峡部にかけて,非常に硬く可動性不良の腫瘤を触知した.
【頚部超音波検査】
甲状腺右葉に26×18×31mm,峡部に22×31×32mmの形状不整で境界不明瞭,内部低エコーの充実性結節を描出した.Doppler法では内部血流は乏しかった.
【穿刺吸引細胞診】
類縁形〜紡錘形の細胞が出現しており,核の大小不同,異形性がみられた.クロマチンがやや増量し,核小体が目立つものもみられた.
【頚部CT】
甲状腺右葉から峡部にかけて,約5.5×3cmの辺縁不整,甲状腺外に膨隆する形状の低吸収腫瘤を認めた.
【Tl-201シンチグラフィー】
早期像,後期像とも腫瘤に一致する集積を認めた.
【甲状腺MRI】
甲状腺右葉から峡部にかけての腫瘤はT1強調像にて甲状腺実質とほぼ同等,T2強調像にて不均一な高信号を呈した.
【PET-CT】
腫瘤にFDGの強い(SUVmax20.2)集積を認めた.
【臨床経過】
超音波検査や他の画像所見と併せて甲状腺悪性腫瘍が考えられ手術を施行した.右葉〜峡部に前頚筋に癒着する硬い腫瘤を認めた.術中迅速病理診断では炎症性腫瘤で,悪性リンパ腫や未分化癌は否定的であったので甲状腺右葉,峡部切除術を行った.術後の病理組織診断はinflammatory myofibroblastic tumor,sclerosing subtypeであった.
【結語】
甲状腺のinflammatory myofibroblastic tumorは,超音波検査上,甲状腺悪性腫瘍との鑑別を要する非常にまれな疾患であり貴重な症例と考え報告した.