Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般ポスター
産婦人科:婦人科

(S516)

卵巣腫瘍内容液のヒストグラム解析法を用いた超音波組織性状診断の検討

Usefulness of standard deviation on the histogram of ultrasound as a quantitative value for intra ovarian tumor fluid echo texture

梅津 朋和1, 神山 直久2, 金山 侑子2, 柴田 清住1, 吉川 史隆1

Tomokazu UMEZU1, Naohisa KAMIYAMA2, Yuko KANAYAMA2, Kiyosumi SHIBATA1, Fumitaka KIKKAWA1

1名古屋大学医学部産婦人科学教室, 2東芝メディカルシステムズ 超音波開発部

1Obstetrics and gynecology, Nagoya University, 2Application & Research Group, Toshiba Medical Systems Corporation

キーワード :

【背景】
卵巣腫瘍の組織診断において超音波断層法が有用とされているが,その分解能には限界があるため,実際にはMRI,CTに頼らざるを得ない.しかしCT,MRIには医療コスト,放射線被ばくの面といった問題が付随してくる.そこで超音波断層法の精度を向上するための方法としてヒストグラム解析法を使用し,卵巣腫瘍内容液のヒストグラム解析をすることで卵巣腫瘍の組織型診断が可能かを検討した.
【方法】
対象は2006年から2007年までの間で当院にて手術を施行された39人の卵巣腫瘍患者で,全ての症例でインフォームドコンセントを得た.卵巣腫瘍の内訳は成熟嚢胞性奇形腫患者12例,チョコレート嚢胞が12人例,卵巣がんが15例であった.経膣超音波装置(SSA-770A,東芝メディカルシステム)で画像を取得し,画像上の腫瘍内容液部にregion of interest(ROI)を設定し,C++を使用して作成したプログラムソフトを使用してROI内のヒストグラムのグラフチャートを作成した.ヒストグラムの解析には標準偏差を用いて,内容液の均一性を評価した.
【結果】
成熟嚢胞性奇形腫患者のヒストグラムパターンは右に広がる非対称性パターンを示すのに対し,チョコレート嚢胞では左右対称パターンを示した.卵巣がん患者では症例によって異なり,規則性を認めなかった.ROI内のヒストグラムの平均標準偏差は成熟嚢胞性奇形腫では6.16±2.49,チョコレート嚢胞は4.79±2.25,卵巣がんは4.00±2.26であった.成熟嚢胞性奇形腫ではチョコレート嚢胞,卵巣がんと比較して内容液は非均一であるため標準偏差値明らかに大きな値となったが,チョコレート嚢胞と卵巣がんとの間では標準偏差値に明らかな差を認めなかった.
【結論】
卵巣腫瘍内容液のヒストグラム法を用いた解析法は成熟嚢胞性奇形腫とチョコレート嚢胞都の鑑別には有用であったが,卵巣がんとの鑑別には更なる検討が必要である.

References:
T. Yamaguchi, H. Hachiya, N. Kamiyama, K. Ikeda and F. Moriyasu, “Estimation of characteristics of echo envelope using RF echo signal from the liver”, Jpn. J. Appl. Phys., Vol. 40, No. 5B, pp. 3900-3904, May 2001.