Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般ポスター
消化器:その他

(S509)

Sonazoid造影超音波検査の自覚症状および臨床検査値に及ぼす影響

Subjective symptoms and the influence of the clinical laboratory results using Sonazoiddonazoid

橋本 眞里子1, 田中 弘教1, 2, 東浦 晶子1, 柴田 陽子1, 松永 桃子1, 西村 純子1, 山平 正浩1, 吉田 昌弘1, 西口 修平2, 飯島 尋子1, 2

Mariko HASHIMOTO1, Hironori TANAKA1, 2, Akiko HIGASHIURA1, Yoko SHIBATA1, Momoko MATHUNAGA1, Junko NISHIMURA1, Masahiro YAMAHIRA1, Masahiro YOSHIDA1, Shuhei NISHIGUCHI2, Hiroko IIJIMA1, 2

1兵庫医科大学超音波センター, 2兵庫医科大学内科肝胆膵科

1Ultrasonography Center, Hyogo College of Medicine, 2Division of Hepatobiliary and Pancreatic Medicine, Hyogo College of Medicine

キーワード :

【背景】
Sonazoid造影超音波検査(CEUS)は,ヨード系造影剤に問題となる腎障害や糖尿病患者などにも使用でき,肝腫瘍の診断や治療支援において広く使用されている.国内第3相臨床治験では総症例397症例のうち副作用は25例(6.3%)にみられ,その主なものは下痢,頭痛,蛋白尿などと報告されているがその後の安全性に関するデータは少ない.そこで今回我々はSonazoid投与前後の自覚症状および臨床検査値を比較検討した.
【方法】
2007年1月から2009年11月までにSonazoid造影超音波検査(CEUS)を施行し,投与前と投与後3日以内に検査値が検討できた239例(男性/女性151/88)を対象とした.内訳は肝細胞癌109例,肝血管腫17例,転移性肝癌8例,その他105例.CEUS前後で血液生化学検査(AST, ALT, LDH, γ-GTP, BUN, CRN, 血糖値)および血液学的検査(白血球,赤血球,血小板,好酸球)の比較検討を行った.投与後検査値の評価は医薬品副作用重篤度分類を指標とした.自覚症状は,検査終了時と検査後の受診時の問診により行った.全例書面で説明後,同意を得られた症例において本検討を行った.副作用の重篤度は基準に従い,次の通り3つのグレードに分類した.グレード1:軽微な副作用と考えられるもの.グレード2:重篤な副作用ではないが軽微な副作用ではないもの.グレード3:重篤な副作用と考えられるもの.すなわち,患者の体質や発現時の状態等によっては,死亡又は日常生活に支障をきたす程度の永続的な機能不全に陥るおそれのあるもの.
【結果】
CEUS前の検査値が正常範囲内であり,CEUS後に検査値が変動した症例はASTでグレード2が1/216例(0.5%),ALTでグレード1が2/216例(0.9%),BUNでグレード1が1/144例(0.9%),グレード2が2/144例(1.4%),血糖値でグレード1が1/72例(1.4%),白血球でグレード1が2/224例(0.9%),血小板でグレード1が1/224例(0.4%)であった.また,CEUS前値が正常範囲外であり,CEUS後に検査値が変動した症例は,AST, ALTでグレード1→2がそれぞれ2/216例(0.9%),血小板でグレード1→2が1/224例(0.4%)であった.変動を示した症例については造影検査前後3ヶ月の時系列で検討すると,いずれも造影剤の影響より原疾患による変動である可能性が高いと考えた.自覚症状については確認できた471例中5例で認められ,内訳はそれぞれ注入部違和感3例 (0.6%),投与後の下痢1例 (0.2%),発疹1例(0.2%)であった.以上のように,今回の検討では,臨床検査値・自覚症状ともに,重篤な副作用は認めなかった.
【結語】
Sonazoid(CEUS)は問題となるような臨床検査値の異常変動を認めず,重篤な副作用もない安全な検査方法である.