Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般ポスター
消化器:腫瘍・症例

(S503)

副腎骨髄脂肪腫の1例

A Case of Adrenal Myelolipoma

井上 修志1, 大河内 寿夫2, 笠原 高太郎2, 渡邊 裕修2

Syuuji INOUE1, Sumio OKOUCHI2, Koutarou KASAHARA2, Hironobu WATANABE2

1独立行政法人国立病院機構高知病院消化器科, 2独立行政法人国立病院機構高知病院泌尿器科

1Gastroenterology, National Hospitatal Organization Kochi Natinal Hospital, 2Urology, National Hospitatal Organization Kochi Natinal Hospital

キーワード :

【はじめに】
副腎骨髄脂肪腫は副腎に見られる比較的稀な疾患である.今回我々は右下腹部不快感を主訴に来院され腹部超音波検査にて副腎骨髄脂肪腫が疑われ手術を施行された症例を経験したので報告する.
【症例】
患者:38歳,女性 既往歴:25歳 胆石症手術 主訴:右下腹部不快感 2008年8月に来院され腹部超音波検査にて上記疾患を疑われ腹部CT検査も施行同診断が疑われた.そのため腫瘤が大きなことと症状があるため手術が勧められたが,患者さんの都合でその時点では同意が得られなかった.同年12月になり右下腹部の異和感が増強したため再度受診され,12月18日当院泌尿器科にて手術された.術前での血液・尿検査はホルモン検査も含め異常は認められなかった.
【US所見】
右モリソン窩に120×72×64mmの楕円形の境界明瞭な高エコー腫瘍を認め内部はやや不均一に見られた.またドップラーでは強い血流は認められなかった.(機種:HITACHI EUB 7500)
【CT所見】
超音波所見と同部位に同上の腫瘍が認められ,内部に脂肪が認められ,脂肪に混じって不整形の軟部に低吸収域があり,造影効果は乏しかった.
【MRI所見】
同上の腫瘍が認められ,内部は大部分がT1W1,T2WIで高信号を呈し,脂肪抑制法にて信号が抑制されるが,T1W1で低信号,T2WIで高〜低信号を呈する信号域も混在して見られた.
【病理学的検査】
副腎内に大部分が成熟脂肪組織からなる単発性腫瘤を認めるが,部分的に造血組織が混在していることより,副腎骨髄脂肪腫と診断された.本来の副腎組織は腫瘤周囲で圧迫され,膜様に薄くなっていた.
【考察とまとめ】
副腎骨髄脂肪腫は主に副腎に発生する非上皮性良性腫瘍で比較的稀で単発性で2cm以下のものが多く無症状で過ごされることが多いとされている.また一般的には内分泌異常を伴わないことが多く自験例も異常は示さなかった.超音波所見では多くの例で脂肪組織を反映し高エコーを示し内部はわずかに不均一に見られることが多く今回の症例は比較的典型的な像のように思われた.鑑別としては腎血管筋脂肪腫があげられるが,腎血管筋脂肪腫は内部がさらに不均一であり,高輝度腫瘤辺縁に血流シグナルが見られることが多いことより鑑別は可能と思われた.今回のような超音波所見が得られた場合は,稀な疾患ではあるが,副腎骨髄脂肪腫と診断できると考えられた.