Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般ポスター
消化器:肝臓

(S499)

超音波検査を契機に当院にて発見された日本住血吸虫症の一例

A case of Schistosoma japonicum infection ,chanced to be diagnosed by Ultrasonograhy

長尾 康則1, 石原 茂秀1, 西脇 博1, 大澤 久志1, 小野木 光代1, 加藤 統子1, 前野 直人1, 仲尾 洋宣1, 堀場 隆雄2, 石川 英樹3

Yasunori NAGAO1, Sigehide ISIHARA1, Hirosi NISIWAKI1, Hisasi OOZAWA1, Mituyo ONOGI1, Noriko KATOU1, Naoto MAENO1, Hironobu NAKAO1, Takao HORIBA2, Hideki ISIKAWA3

1公立学校共済組合東海中央病院診療放射線科, 2公立学校共済組合東海中央病院外科, 3公立学校共済組合東海中央病院消化器内科

1Tokai Central Hospital, Department of Radiology, 2Tokai Central Hospital, Department of Surgery, 3Tokai Central Hospital, Department of Gastroenterology

キーワード :

【はじめに】
日本住血吸虫症は,日本,中国,フィリピンなど東南アジアに分布する寄生虫疾患である.日本では,広島県片山地方,筑後川流域,利根川流域,甲府盆地等に流行がみられていた地方病であるが,1977年の感染例を最後に新たな感染の報告はなく,終息したものと考えられている.現在は,感染歴のある高齢者に慢性期所見を認めるのみである.今回,大腸癌手術後の経過観察の超音波検査を契機に,偶然発見された日本住血吸虫症の一例を報告する.
【症例】
75歳 女性 主訴:なし 家族歴:特記すべきこと無し 既住歴:大腸癌 現病歴:他院での大腸癌術後経過観察と,腹壁瘢痕ヘルニアの手術目的で当院来院され超音波検査を施行した.使用超音波装置はアロカ社製 SSD-6500
【来院時現症】
血液検査所見:CEA3.89 mg/dl,ALP397mg/dlと高値が認められた.HBs抗原(-),HCV抗体(-),その他のデータは正常範囲であった.腹部超音波検査所見:肝臓辺縁鈍化,肝実質は不均一で日本住血吸虫症を疑わせる,網目状のnetwork patternを示していた.腹部CT所見:単純 造影にて明らかな異常所見を認めなかった.腹壁瘢痕手術時に,肝表面の凹凸など明らかな異常所見を認めなかったが,精密検査目的で,肝楔状切除を行なった.
【病理組織標本】
門脈内に住血吸虫の死滅した虫卵を認め,活動性の炎症は認めず,陳旧性日本住血吸虫症と診断された.