Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般ポスター
消化器:肝腫瘍

(S498)

悪性リンパ腫の肝病変における造影超音波検査の特徴

Characteristics of the contrasting sonography in the hepatic lesion of the malignant lymphoma

中野 聖士, 黒松 亮子, 高田 晃男, 住江 修治, 佐谷 学, 鳥村 拓司, 上野 隆登, 佐田 通夫

Masahito NAKANO, Ryoko KUROMATSU, Akio TAKATA, Shuji SUMIE, Manabu SATANI, Takuji TORIMURA, Takato UENO, Michio SATA

久留米大学医学部内科学講座消化器内科部門

Division of Gastroenterology, Department of Medicine, Kurume University School of Medicine

キーワード :

【目的】
悪性リンパ腫の肝病変における造影超音波検査の報告は少ない.今回我々は悪性リンパ腫の肝病変5例に対して造影超音波検査を行い,その特徴を検討した.
【方法】
使用した超音波診断装置は,東芝メディカルシステムズ社製「Aplio XG」,フォーカスは1点フォーカスとし,腫瘍下縁あるいは肝下縁に設定した.その後,mechanical index (MI) 値を0.2〜0.3の範囲で可及的低値に設定した.いずれにおいても,ソナゾイド0.015ml/kgを静脈内投与し,血管相及び10分後のクッパー相で撮像を行った.
【成績】
<症例1>72歳男性.2007年10月腹痛を主訴に近医を受診.肝(最大120mm)・脾・大動脈周囲に多数の腫瘤を認めた.
<症例2>53歳男性.2008年5月腹痛を主訴に近医を受診.肝(最大120mm)・大動脈周囲に多数の腫瘤を認めた.
<症例3>80歳男性.2008年8月頚部リンパ節腫脹を主訴に当院耳鼻咽喉科を受診.胆道系酵素が高値を示し,肝内に多数の腫瘤(最大85mm)を認めた.
<症例4>24歳男性.2005年6月悪性リンパ腫にて化学療法の既往あり.2009年2月CTにて肝内に多数の腫瘤(最大53mm)を認めた.
<症例5>75歳女性.2005年4月成人T細胞白血病にて化学療法の既往あり.2008年2月MRIにて肝内に多数の腫瘤(最大15mm)を認めた.結果として腫瘍径が50mm以上の症例1〜4の造影超音波検査では,血管相において周囲の正常肝と比べて乏血性であったが,内部の正常血管と思われる細かい血管網によりわずかな樹枝状の濃染像を認めた.腫瘍径が20mm以下の症例5は肝細胞癌も合併しており,いずれの結節も血管相では軽度増強されたため,造影超音波検査のみでの鑑別は困難であった.
【結論】
今回我々が経験した症例では,病変の内部を貫通する細かな血流を認めた.この血流は直線状で生理的な方向の血流であることから,既存の血管と考えられた.このことから悪性リンパ腫においては既存の血管構築が保たれていることが造影超音波検査によって推察された.CT・MRIにおいては腫瘍内を偏位なく貫通する既存の血管構造が悪性リンパ腫の特徴的な所見と言われており,この所見に加えて樹枝状の濃染像が造影超音波検査で確認出来れば,悪性リンパ腫の診断の一助になり得ると考えられた.