Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般ポスター
消化器:肝細胞癌

(S495)

肝細胞特異的造影剤Gd-EOB-DTPA造影MRIで検出される乏血性肝細胞性小結節の超音波像

Evaluation of US imaging of the hypovascular nodule detected in the hepatobiliary phase of MR imaiging with Gd-EOB-DTPA

歳森 淳一, 小林 功幸, 中村 進一郎, 大西 秀樹, 桑木 健志, 萩原 宏明, 白羽 英則, 能祖 一裕, 山本 和秀

Junichi TOSHIMORI, Yoshiyuki KOBAYASHI, Shinichiro NAKAMURA, Hideki OHNISHI, Kenji KUWAKI, Hiroaki HAGIHARA, Hidenori SHIRAHA, Kazuhiro NOUSO, Kazuhide YAMAMOTO

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科消化器・肝臓内科学

Department of Gastroenterology and Hepatology, Okayama University Graduate School of Medicine

キーワード :

【背景と目的】
肝細胞癌(HCC)の早期診断において肝細胞特異的造影剤であるGd-EOB-DTPAを用いた造影MRI(以下EOB-MRI)の有用性がこれまで報告されてきている.今回,われわれはEOB-MRIの肝細胞相にて低信号を示した乏血性肝細胞性小結節の超音波像の検討を行った.
【対象】
2008年4月〜2009年6月までに当科にて慢性肝炎患者にEOB-MRIを施行し,その肝細胞相にて低信号を示し,生検にて組織学的にHCCまたはdysplastic noduleの診断を得た乏血性の86結節(48症例)を対象とした.48例の内訳はB型4例,C型41例,B+C型1例,nonBnonC型3例であった.
【方法】
EOB-MRIの肝細胞相はGd-EOB-DTPA静注投与20分後の画像にて評価を行った.超音波の使用装置は東芝社製Aplio,ALOKA社製Prosound α10であり,使用プローブは通常観察にはコンベックスを用い,生検時にはマイクロコンベックスを用いた.造影USはペルフルブタン(ソナゾイド)を用いた.造影モードはAplioのPulse Subtraction Imagingを使用し,MI値は0.2-0.4,Focusは腫瘍下縁とした.
【結果】
①86結節の病理学所見は75結節が高分化型HCC,11結節がdysplastic noduleであった.内部エコー像はhypoechoic 45例(52%),hyperechoic 41例(48%)であった.辺縁エコー像はbright loopを15%,haloを7%に認めた.②HCCとdysplastic noduleでBモード像に有意差は認めなかった.③dynamic MDCTにて検出されず(CTの平衡相にisodensity),EOB-MRIのみで検出された19結節(A群)とEOB-MRIの肝細胞相にて低信号を示しCTの平衡相にてもlow densityを呈した67結節(B群)の比較検討を行った.両群の平均腫瘍径はそれぞれ12mmであった.Bモード像はA/B群でそれぞれhypoechoic 74%/46%, hyperechoic 26%/54%と両群間に有意差を認めた(P=0.05).辺縁エコー像はbright loop10%/17%, halo 5%/7%で有意差を認めなかった.④造影USを行ったものはA群では2/19例であり,Vascular phaseにて造影効果を認めず,Kupffer phaseにてもdefectを呈さなかった.B群では20/67例の造影USを行い,Vascular phaseにて造影効果を認めず,Kupffer phaseにて1例defectを呈し,両群間で有意差を認めなかった.⑤MRI T1強調画像でA群では2結節(10%)が高信号を呈したのに対してB群では33結節(49%)が高信号を呈し,両群間に有意差を認めた(P=0.003).CTの平衡相にてもlow densityを呈するB群の結節の脂肪化を考慮した.
【結語】
肝細胞特異的造影剤Gd-EOB-DTPA造影MRIで検出される乏血性肝細胞性小結節のBモード像は多彩な像を呈する一方,造影USのKupffer phaseではほとんど欠損像を呈さなかった.またEOB-MRIのみで検出された小結節のBモード像は低脂肪化を反映してかhypoechoicな像が優位であった.