Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般ポスター
循環器:症例1

(S485)

局所壁運動低下を呈し,二次性ヘモクロマトーシスが強く疑われた1症例

A case of Secondary Hemochromatosis with segmental asynergy

池邊 麻衣

Mai IKEBE

獨協医科大学越谷病院臨床検査部

Department of Clinical Laboratory, Dokkyo Medical University Koshigaya Hospital

キーワード :

【症例】
68歳女性
【主訴】
心拡大精査
【既往歴】
特記事項なし
【現病歴】
H17年4月に貧血精査のため当院内科を初診.骨髄異形成症候群(以下MDS)と診断され,週1回の頻度で輸血が施行された.H20年8月,H21年1月および5月に心不全が出現し,内科にて入院加療後,軽快退院.H21年12月肝機能障害と胸部X線上心拡大を認めたため,精査目的にて当院循環器内科を受診.
【現在】
身長 141cm,体重 37kg,血圧 112/64mmHg,脈拍72/分・整,胸部聴診上心雑音は聴取せず,軽度の下腿浮腫を認めた.
【検査所見】
心電図は心拍数 72/bpm,洞調律,肢誘導にて低電位,V1〜V4にかけてpoor Rを認め,胸部X-Pにて,CTRは68%と拡大し,右胸水を認めた.血液検査においてAST 100U/L,ALT 203U/L,γ-GTP 348U/Lと軽度上昇し,血清鉄 226μg/dl,フェリチン 11195ng/mlと高値を認めた.2Dエコー図では,左室下壁,後壁の軽度壁運動低下および同部位の心外膜,心筋の軽度輝度上昇を認め,心膜液貯留も認められた.パルスドプラ法において左室流入血流速波形は偽正常型パターンを,一方右室流入血流速波形は弛緩障害型パターンを示した.組織ドプラ法における左房,左室のストレインピークは共に中隔側に比べ自由壁側が遅延していた.
【考察】
本症例は臨床経過,検査所見により長期輸血による心ヘモクロマトーシスが強く疑われた.また本例は右室より左室の拡張障害がより進行し,左室壁の局所間において輝度および壁運動に差を認め,局所心機能評価に組織ドプラ法が有用であった.
【結語】
今回我々は長期輸血による心ヘモクロマトーシスが疑われた1症例を経験し,興味深い症例と考え報告する.