Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般ポスター
循環器:脈管

(S482)

関節リウマチ患者における滑膜血流シグナルと血管新生関連因子の関係について

Relationship between synovial blood flow signals and angiogenesis factors in patients with rheumatoid arthritis by power Doppler ultrasonography

平井 健一郎1, 西岡 真樹子2, 中田 典生2, 宮本 幸夫2, 福田 国彦2

Kenichiro HIRAI1, Makiko NISHIOKA2, Norio NAKATA2, Yukio MIYAMOTO2, Kunihiko FUKUDA2

1東京慈恵会医科大学リウマチ膠原病内科, 2東京慈恵会医科大学放射線医学講座

1Division of Rheumatology, The Jikei University of School of Medicine, 2Department of Radiology, The Jikei University of School of Medicine

キーワード :

関節リウマチは,関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である.病理組織学的には,関節滑膜には,関節滑膜にリンパ球浸潤,血管新生,滑膜増殖がみられる.パンヌスと呼ばれる増殖性炎症滑膜組織には多数の血管新生や炎症細胞浸潤を認める.このパンヌスに観察される新生血管は増殖滑膜を栄養するために必須のものである.パンヌスは,軟骨や骨を侵し軟骨破壊や骨破壊を引き起こす.最近,滑膜血管の血流を超音波ドプラ検査により測定する方法が開始された.滑膜血管の血流は,超音波ドプラ検査により赤色の血流シグナルとして認められる.またVascular endotherial growth factorは血管内皮細胞に働き,内皮細胞の遊走や管腔形成を促進し,血管新生を促進する.関節リウマチにおいては,関節中や血清中に検出され,関節炎の病態形成,特に血管新生と深く関係することが報告されている.超音波ドプラ検査による,関節滑膜血流シグナルスコアと血清中の血管新生関連因子の関係について調べた.
【方法】
アメリカリウマチ学会の診断基準を満たす関節リウマチ患者70人を対象とした.超音波は linear array transducer(10MHz)を用いた(GE Healthcare, Waukesha, WI, USA).超音波ドプラ検査を両側の肩,肘,手,膝,足関節,合計10関節に施行した.各関節滑膜部位における血流シグナルの評価は0〜2点でスコア化した.Grade1:no flow(0ポイント),Grade2:mild or moderate flow(1ポイント),Grade3:intense flow(2ポイント)とした.そして全10関節の血流シグナルスコアの合計をTotal signal score(TSS)とした.また血清VEGFをELISA法にて計測した.
【結果】
Total signal score(TSS)と血清CRP,DAS-CRPとの間に統計学的に有意な相関関係が認められた.TSSと血清VEGFとの間に統計学的に有意な相関関係が認められた.
【結論】
Total signal score(TSS)と血清CRP,DAS-CRPとの間に相関を認めたことから,全身の大関節の超音波を施行することにより,関節リウマチの活動性を評価できる.またTSSと血清VEGFとの間に相関を認めたことから,関節リウマチにおける超音波ドプラ検査による関節滑膜血流シグナルの増加は,滑膜増殖部の血管新生により起きている可能性が高い.