Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般ポスター
循環器:脈管

(S481)

下肢静脈血栓症に合併する肺塞栓

Plumonary embolism with deep vein thrombosis

大平 里佳1, 篠崎 毅2, 伊藤 真理子1, 田丸 貴規2, 池田 尚平2, 尾上 紀子2, 田中 光昭2, 石塚 豪2, 鈴木 博義1, 三上 秀光1

Rika OODAIRA1, Tsuyoshi SHINOZAKI2, Mariko ITOU1, Takanori TAMARU2, Shouhei IKEDA2, Noriko ONOUE2, Mitsuaki TANAKA2, Takeshi ISHIDUKA2, Hiroyoshi SUZUKI1, Hidemitsu MIKAMI1

1(独)国立病院機構仙台医療センター臨床検査科, 2(独)国立病院機構仙台医療センター循環器科

1Clinical Functional Physiology, National Hospital Organization Sendai Medical Center, 2Cardiovascular Medicine, National Hospital Organization Sendai Medical Center

キーワード :

【背景】
下肢静脈超音波検査は 下肢静脈血栓(DVT)の検出に有効である.しかし,観察されたDVTが肺塞栓の発症にどの様に関係しているか明らかではない.本研究の目的は,DVTが肺塞栓を合併する頻度,及び,DVTの形態と肺塞栓の関係について明らかにすることである.
【方法】
平成21年1月から平成21年12月までの1年間に下肢静脈超音波検査によって診断された連続147例のDVT症例を対象とした.DVTは大腿または下腿静脈本管の完全閉塞型(閉塞型),free float型,壁在型,及び,下腿末梢静脈型(末梢型)の4タイプに分類した.肺塞栓は胸部造影CTによって診断し,症候性肺塞栓群と無症候性肺塞栓群に分類した.症例は下肢静脈超音波検査を施行した日の前後3日以内に胸部造影CTを施行した群57例とCT未施行群90例に分類した.また,各群のDダイマー値も比較検討した.
【結果】
CT施行群のうち6例(11 %)に症候性肺塞栓を,13例(23 %)に無症候性肺塞栓を認め,38例(67 %)に肺塞栓を認めなかった(非肺塞栓群).症候性肺塞栓群,無症候性肺塞栓群,非肺塞栓群のDVTのタイプ(閉塞型/free float型/壁在型/末梢型)は,それぞれ,1/0/3/2例,3/2/6/2例,7/2/18/11例であった.3群間のDVTのタイプに有意差を認めなかった(カイ2乗検定).症候性肺塞栓群,無症候性肺塞栓群,非肺塞栓群,CT未施行群のDダイマーは25± 22,16±20,18±20,13±14 g/mlであり,4群間に有意差を認めなかった.
【結論】
DVT症例のうち約1割が症候性肺塞栓を,約2割が無症候性肺塞栓を生じている.DVTの形態は肺塞栓の発症や症候と無関係である.DダイマーはDVT症例における肺塞栓の診断に有用ではない.