Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般ポスター
基礎:基礎

(S470)

超音波プローブ回転走査式乳腺画像化システムにおける表示画像生成法の改良

Improvement of Image Generation Method for Ultrasound Breast Imaging System with Scanning by Rotating Ultrasound Probe

佐藤 正和1, 橘内 洋1, 入江 喬介1, 2, 田川 憲男2, 小沢 智志2, 大久保 寛2, 吉澤 昌純3, 横井 浩4, 本田 伸行5

Masakazu SATO1, Hiroshi KITSUNAI1, Takasuke IRIE1, 2, Norio TAGAWA2, Satoshi OZAWA2, Kan OKUBO2, Masasumi YOSHIZAWA3, Hiromu YOKOI4, Nobuyuki HONDA5

1マイクロソニック株式会社開発部, 2首都大学東京大学院システムデザイン研究科, 3東京都立産業技術高等専門学校ものづくり工学科, 4横井整形外科理事, 5寺元記念病院画像診断センター

1Reserch and Deveropment, Microsonic Co. Ltd., 2Graduate School of System Design, Tokyo Metropolitan University, 3Monozukuri Department, Tokyo Metropolitan College of Industrial Technology, 4Director, Yokoi Orthopedic Surgery Hospital, 5Image Diagnosis Center, Teramoto Memorial Hospital

キーワード :

【はじめに】
近年,乳癌の早期発見と効果的な治療法を目指して多くの努力がなされている.診断方法としてマンモグラフィ検査が一般的であるが,被曝の問題や,乳房に圧迫を加える必ずしも快適とは言えない状態での撮影となることが問題となっている.そこで,人体に悪影響の少ない超音波検査が注目されている.我々は,再現性が高く,技士や医師の手技に依存しない,安定かつ高効率な画像化が可能であり,さらに乳管像(拡張像)が適切に可視化できる手法として,乳頭を中心に回転走査を行う“超音波プローブ回転走査器”,及びこれを用いた画像採取・表示システムの開発を進めてきた[1]-[6].今回は,表示画像の自動生成に対する改良を行ったので報告する.
【システム概要】
本システムは,乳房の湾曲に応じてプローブの傾きを変化させながら,乳頭を中心に回転走査をすることで乳房超音波画像を収集する.診断装置で得られるBモード画像は探触子の視野幅の範囲に限られ乳房全域を走査することは困難なため,乳頭中心に1回転した後,外側にスライドしてさらにもう一回転することで,広範囲の超音波画像を収集する.表示画像の生成にあたっては,縦断面を形成する4枚のB-mode画像を各方向について接続して集めることにより3次元画像を作る.これから適切な面を切り出すことで,任意の断面を表示可能である.特に本システムによれば,乳房表面からの深さを連続的に変えたC-mode表示が行え,従来の縦断面Bモード画像とはまったく違った乳房内の可視化が可能であり,組織の3次元的構造の把握に重要な情報を提供できる.
【改良と結果】
これまでのB-mode画像4枚の接続においては,画像間の傾きと平行位置をパラメータとし,重なり部分全体の輝度値の一致度を二乗誤差で評価して最適なパラメータ値を決定していた.この方法では,層状の輝度パターンのように輝度の濃淡が空間的に明確な箇所では望ましい接続が決定できるものの,超音波画像では輝度パターンが不明確でコントラストの低い領域が多く,そのような箇所では適切な接続の一意的な決定が困難となる [5],[6].そこで今回は,輝度値の空間微分値の強度を計算し,しきい値処理によって空間輝度勾配の大きな箇所を画素単位で検出し,その部分でのみ輝度値の二乗誤差を評価する方法を採用した.これにより,従来の誤決定をほぼなくすことができた.
【考察】
画像間の重なり領域において表示する輝度値として,今回は乳房表面に対して垂直な線で重なり領域を半分に分割し,そこで輝度値を切り替えて最終的な値としているが,2枚の平均輝度値を用いる等,他にも方法が考えられる.その他にも,プローブの接触圧力による乳房の変形により生じる画像歪みの補正を考慮する必要があり,今後の課題である.
【参考文献】
[1]横井 浩,他:乳腺腫瘍の位置表示,第42回日超医論文集;627-628, 1983
[2] 入江喬介,他:乳癌集検用超音波診断装置の開発,第75回日超医論文集;S443, 2002
[3]本田伸行,他:乳房超音波診断装置(回転式自動走査装置)の開発経緯,第79回日超医論文集;S214, 2006
[4]佐藤正和,他:乳癌集検用超音波診断装置の開発,第81回日超医論文集;S566, 2008
[5]S. Ozawa, et al.: Development of Ultrasound Breast Imaging System, USE2008; 433-434, 2008
[6] 小沢智志,他:乳癌集検用超音波診断装置の開発〜超音波乳腺画像の採取表示システムの検討〜,第82回日超医論文集;S465, 2009