Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般口演
整形外科:整形外科2

(S464)

スポーツ選手におけるアキレス腱の厚さ計測

Measurement of Achilles tendons with ultrasound in athletes

平林 伸治

Shinji HIRABAYASHI

大阪労災病院リハビリテーション科

Rehabilitation Medicine, Osaka Rosai Hospital

キーワード :

【はじめに】
アキレス腱炎はランニング・ジャンプなど繰り返し運動することで発症する疾患である.スポーツではラグビー・バスケットボールが多く,超音波診断による腱の評価が報告され,疼痛部分の肥厚を示し診断されている.しかしスポーツ選手では身体能力も高く,非スポーツ者より解剖学的にも靭帯は厚くなっていると推測されるので,特性を検討する必要がある.今回,運動能力の高いスポーツ選手で,スポーツを一定期間中止して臨床症状のないアキレス腱の形態を観察し厚さを計測した.
【対象】
スポーツ選手のレベルは,①高校生は全国大会レベルの競技力を持つ者②大学生は体育会所属の運動選手③実業団選手など競技を目的とし運動しているが,膝前十字靭帯損傷し手術目的で入院治療した50人を対象とした.男26人,女24人.①年齢;男平均22歳(17〜38),女平均19歳(16〜20).②身長cm;男173.4±4.9,女160.2±5.8.③体重kg;男78.6±15.4,女58.6±8.2である.腱の計測は非手術側のアキレス腱を10MHz探触子で長軸方向に走査し踵骨後上端から0mm(A)と20mm(B)40mm(C)で厚さ計測した.
【結果】
(A)厚さ(平均値±SD)mm;男5.6±0.7,女5.0±0.6.(B)厚さmm;男5.9±0.7,女5.2±0.6.(C)厚さmm;男5.6±0.7,女5.1±0.8であった.身長・体重と(A)(B)(C)部分の厚さとの相関係数を検討した.男では身長と(B)0.51,体重と(A)0.54(B)0.67と関係があったが,女では身長や体重とに関係がなかった.それ以外の項目との相関は低かった.
【考察】
部位別には(B)の平均値がもっとも厚く,臨床的にも腱炎では同部位が肥厚しているのでスクリーニングとしては(B)の計測が推奨される.特に体格が大きいと考えられる体重90kg以上の選手は男性6人でその平均値は(A)6.2mm(B)6.6mm(C)6.4mmと男の平均値と1SDの差であった.
【結語】
スポーツ選手のアキレス腱の超音波による厚さの計測を行った.男女間は厚さに約0.5〜0.7mmの差を認めた.今回の(B)部分平均値は5.6mm,最大値は7.8mmであった.