Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般口演
整形外科:整形外科2

(S463)

上腕骨小頭離断性骨軟骨炎における小頭骨端部への栄養血管血流の臨床的意義

Doppler Assessment of Nutrient Artery Flow to Capitulum in Osteochondritis Dissecans of the elbow

西尾 進1, 松浦 哲也2, 鈴江 直人2, 山田 博胤1

Susumu NISHIO1, Tetsuya MATSUURA2, Naoto SUZUE2, Hirotsugu YAMADA1

1徳島大学病院超音波センター, 2徳島大学病院整形外科

1Ultrasound Examination Center, Tokushima University Hospital, 2Orthopaedics, Tokushima University Hospital

キーワード :

【目的】
上腕骨小頭離断性骨軟骨炎の初期,進行期では保存療法が選択されるが,病巣が修復するか否かを予想することは難しい.本障害は小頭骨端線の癒合開始前後に発生することから,小頭骨端への栄養血管の血流量は病巣修復に関与している可能性がある.そこで今回は,離断性骨軟骨炎の病巣修復状況と栄養血管の血流量の関係を検討した.
【方法】
当科にて投球中止を主体とした保存療法を行い,1年以上経過の追えた離断性骨軟骨炎患者12名(すべて男性)を対象とした.初診時平均年齢は12.7歳(11〜14歳)であった.装置は日立メディコ社製 EUB-7500を用い,高周波リニアプローブを使用した.保存療法開始時にカラードプラ法を用いて小頭への栄養血管を同定した後,パルスドプラ法を用いて記録した血流速波形から収縮期最高血流速度(Vs)および拡張期最低血流速度(Vd)を計測し,血管抵抗係数resistance index(RI)=(Vs-Vd)/Vsを算出した.そして保存療法により修復した群と修復しなかった群のRIを比較した.
【結果】
保存療法により9例が修復し,3例は修復しなかった.超音波検査による検討では,全例でカラードプラ法により栄養血管の描出ができ,パルスドプラ法で血流速波形が記録可能であった.修復例のRIは0.60±0.05,未修復例のRIは0.70±0.01であった.
【考察】
小頭への栄養血管の血管抵抗は,未修復例で修復例よりも高く,血流が乏しかった.以上より,小頭骨端への栄養血管の血流量は,病巣修復に関与する因子のひとつである可能性がある.