Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般口演
整形外科:整形外科1

(S462)

早期関節リウマチにおける初期診断

Diagnosis of early stage rheumatoid arthritis

大内 元, 伊藤 純, 潮平 芳樹

Gen OUCHI, Jun ITO, Yoshiki SHIOHIRA

医療法人友愛会豊見城中央病院腎臓膠原病内科

Nephrology and collagen Department, Tomishiro Central Hospital

キーワード :

【背景】
近年,生物学的製剤の登場により,関節リウマチの治療ゴールは臨床的寛解のみならず,「真の寛解」が治療目標となってきている.より高い寛解を目指すためいには,出来る限り早期において関節リウマチと診断し,早期における積極的治療介入が必要となる.しかし,関節痛を呈するする疾患は多様であり,また早期関節リウマチにおいては血清学的に陰性であることも多く診断に苦慮する.そのため,早期関節リウマチの診断において,血液検査のみならず,画像検査は極めて重要となる.画像においては,レントゲン所見で骨びらん,関節裂隙の狭小化を呈する状態は,すでに関節炎の進行があり,症状発現後の期間も長いことが多い.レントゲン所見に乏しい極早期の関節リウマチでは,MRI所見,関節エコー所見を総合的に検討し診断する必要がある.特に関節エコーはその特性から,コストおよび臨床経過をリアルタイムでフォローすることが可能であることからその重要性が増してきている.
【目的および方法】
今回我々は,早期関節リウマチ診断における関節エコーの有用性を検討するため,当院外来を関節痛を主訴に受診した新患患者について,関節エコー所見を中心に分析を試みた.
【結果】
初期関節炎新患患者63例中,早期関節リウマチと診断舌症例は54症例(78.3%).うち29例(53%)は抗CCP抗体,RA因子いずれも陰性で関節エコーにおいて関節滑膜肥厚,血流シグナルを認め,MRIで炎症所見およびT2で骨びらんを認めた.一方関節リウマチ以外の診断となった症例は15症例(21.7%)あった.それらのうち最も多かったのは全身性エリテマトーデス(SLE)で5例あり,その他,強皮症,悪性関節リウマチ,線維筋痛症,回帰性リウマチ等が認められた.
【考察】
関節エコー所見とMRI所見では,早期関節リウマチ診断において,大きな差異はなく,その簡便性からは関節エコーは関節炎の鑑別および診断に有効であると考えられた.特に早期関節リウマチの早期診断には非常に有用である.しかし,検者の習熟度により検査結果にばらつきが出やすく,検査および評価の標準化がまだ出来ていない.関節炎を呈する疾患は多様であり,さらなるデータの蓄積が必要である.