Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般口演
整形外科:整形外科1

(S460)

小児の単純性股関節炎における超音波画像の検討

Ultrasonography of the transient synovitis in children

藪中 幸一1, 森本 法生2, 北野 直2, 篠原 和幸2, 高村 昌樹2, 杉岡 瑞穂3, 戸口 直美3, 大植 睦2

Koichi YABUNAKA1, Norio MORIMOTO2, Nao KITANO2, Kazuyuki SHINOHARA2, Masaki TAKAMURA2, Mizuho SUGIOKA3, Naomi TOGUCHI3, Mutsumi OOUE2

1医療法人大植会葛城病院放射線科, 2医療法人大植会葛城病院整形外科, 3医療法人大植会葛城病院小児科

1Depertment of Radiology, Katsuragi Hospital, 2Orthopedics, Katsuragi Hospital, 3Pediatrics, Katsuragi Hospital

キーワード :

【はじめに】
超音波検査(以下:US)は簡便性,非侵襲性,リアルタイム性に優れており,筋肉や軟部組織の描出が容易である.特に,小児疾患にはX線被ばくがないUSが有用である.そこで,今回我々は,小児における単純性股関節炎に注目し,超音波画像について検討した.
【対象と方法】
対象は,股関節痛を訴えて当院を受診した小児で超音波検査を実施し,単純性股関節炎と診断された19例38関節,年齢は3-14(平均:7.16)歳である.なお,股関節痛又は下肢痛を訴えて当院を受診した小児のうち,他の部位の疾患が否定され,股関節に可動制限や圧痛などの診療所見を認め,単純X線写真で骨異常がなく,化膿性股関節炎の所見がないものを単純性股関節炎とした.観察方法は,大腿頚部に沿った縦走査(矢状断層)で,肢位は中間位とした.両側の股関節が比較できるような画像を撮影した.計測方法は,両側の大腿骨頚部の陥凹部から関節包の上縁の最短距離(joint capsule:JC)を計測した.また,水腫(effusion space) を認めた場合には,その厚さも計測した.使用機器は,超音波診断装置SSA-660A(TOSHIBA社製)で,プローブはコンベック型及びリニア型使用した.
【結果及び考察】
JCは患側9.97±1.71mm,健側7.11±1.29mmで,有意差を認めた(P<0.05).また,患側の水腫は4.89±1.47mmで,患側のJCから水腫を引いた場合,5.12±1.11mmと健側のJCよりも小さかった.このことから,関節炎が生じると水腫が発生するが滑膜の肥厚は伴わないと考える.19例中3例に両側の水腫を認めた.これら3例のJCは患側と健側の差が1mm以内であるが,水腫の差は1mm以上であった.よって,単純性股関節炎を疑いUSを行う際には,水腫の計測が有用と考える.最後に,小児の股関節炎の診断には,MRIも使用されているが,簡便な検査手法や定量化が可能なUSの方が優れている.
【参考文献】
[1]服部義:小児股関節炎に対する超音波診断Orthopaedics, 19; 55-60, 2006.
[2]Simon G, Maarten H, Ad F. M. Diepstraten, et al. Anterior Joint Capsule of the Normal Hip and in Children with Transient Synovitis: US Study with Anatomic and Histologic Correlation, Radiology; 210:499-507,1999.