落合 彩耶奈¹, 松崎 正史², 鳥澤 智里³, 山田 一範⁴, 新津 守¹

Ayana OCHIAI¹, Masashi MATSUZAKI², Chisato TORISAWA³, Kazunori YAMADA⁴, Mamoru NIITSU¹

¹首都大学東京健康福祉学部放射線学科, ²ソニックジャパン株式会社CEO, ³株式会社日立メディコ超音波営業本部, ⁴首都大学東京大学院人間健康科学研究科

¹Healthy welfare faculty radiology department, Tokyo Metropolitan University, ²Chief Executive Officer, Sonic Japan Co., ³Supersonic wave business headquarters, Hitachi Medico Ltd., ⁴Graduate School of Human Helth Sciences, Tokyo Metropolitan University

キーワード :

【目的】
成長期における野球肘は検診により傷害の早期発見が可能であり，検出率の向上に超音波を導入する研究がここ数年発表されている．本研究の目的は，野球肘超音波検診時における描出画像と三次元撮像によるMRI画像の同時表示を試みることにより，超音波画像の解剖学的オリエンテーションを明らかにすることである．
【方法】
超音波画像と三次元CT，MRI画像を融合させるReal-time Virtual Sonography（以下RVS）法（日立メディコ）を肘関節画像に応用した．本手法はプローブに装着した磁気センサーによって磁気発生器からの三次元空間位置情報を感知し，事前に撮像した三次元データと双方における座標系を変換，対比することで超音波画像と三次元CT，MRI画像をリアルタイムに描出するものである．超音波診断装置はEUB-7500（日立メディコ），リニア型プローブ（6〜14MHz），MRIはAchieva 3.0T（Philips, Flex-M coil）を使用した．野球肘超音波検診時における検査姿位での三次元 MRI画像を撮像しDICOMデータとして保存をした．保存されたデータを超音波診断装置のRVSシステムに移行し，撮像時と同様の検査姿位にて超音波画像を得た．
【結果】
野球肘超音波検診時における検査姿位の表在超音波画像に対応するMRIの断面がリアルタイムに表示できた．空間分解能は双方0．数mmを有しており，運動器構成体である骨，軟骨，筋，腱，靭帯の高品質画質として表示観察が可能であった．成長期における野球肘傷害の発生部位は内側および外側に多くみられ，検査時のプローブ走査に対比したMR画像を観察することによって，描出されている超音波画像ついての解剖学的なオリエンテーション並びにピットフォールを多角的に認知することができた．
【結論】
RVSを肘関節に応用し超音波画像とMRI画像の同時並列表示することにより，野球肘超音波検診における超音波画像の解剖学的なオリエンテーションを把握することができた．