Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般口演
頭部:頭頸部

(S458)

頸部に発症したCastleman病症例

A case of castleman disease at the head and neck

福原 隆宏, 北野 博也

Takahiro FUKUHARA, Hiroya KITANO

鳥取大学医学部附属病院 感覚運動医学講座耳鼻咽喉・頭頸部外科学分野

Department of Otolaryngology, Head and Neck Surgery, Faculty of Medicine Tottori University

キーワード :

Castleman病は,頸部では非常に稀な原因不明のリンパ増殖性疾患である.この度我々は,頸部のリンパ節腫脹で発症したcastleman病,hyaline vascular typeの症例を経験したため報告する.症例は17歳,女性.頸部腫瘤を主訴に当科へ紹介された.他に特記すべき自覚症状,身体所見,および血液学的検査の異常を認めなかった.頸部の超音波検査では,右頸部の中内深頸リンパ節領域ならびに下内深頸リンパ節領域に複数の腫大リンパ節を認めた.腫大リンパ節のうち,二つのリンパ節の長径が10mmを超えており,同様のエコー像を呈した.それらリンパ節のエコー像は,内部は均一な低エコーであり,辺縁は整で,境界は明瞭,正常なリンパ節構造を保ちつつもドプラーでは激しい血管の増生を認めていた.穿刺吸引細胞診を施行し,結果は良性であったため,経過観察を行っていた.その後,複数回の穿刺吸引細胞診を行い,経過観察をおこなったが,結果は全て良性であった.しかし,2年近くリンパ節腫脹が軽快しないためリンパ節生検を行った.病理組織検査,フローサイトメトリーなど行ったところ,castleman病,hyaline vascular typeとの診断を得た.このため,IL-2の測定の追加検査を行ったが,上昇を認めなかった.諸家の文献では,Castleman病のhyaline vascular typeに対しての治療として,腫大リンパ節全ての外科的摘出が報告されている.この度のリンパ節生検では,複数の腫大リンパ節のうち一つのみの摘出を行っている.残存リンパ節の摘出も検討していたが,リンパ節生検を施行した直後より,残存リンパ節の腫脹が軽快し血管増生も消失した.このため,患者の希望もあり,現在は摘出を行わず頸部超音波での経過観察を続けている.