Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般口演
頭部:頭頸部

(S457)

化学放射線治療による咽頭癌頸部リンパ節転移超音波像の変化

Evaluation of Effects of Chemoradiotherapy against Lymph Node Metastases of Pharyngeal Cancer Using Ultrasonography

古川 まどか1, 久保田 彰1, 八木 宏章1, 古川 政樹2

Madoka FURUKAWA1, Akira KUBOTA1, Hiroaki YAGI1, Masaki FURUKAWA2

1神奈川県立がんセンター頭頸部外科, 2横浜市立大学附属市民総合医療センター医療情報部

1Head and Neck Surgery, Kanagawa Cancer Center, 2Division of Medical Informatics, Yokohama City University Medical Center

キーワード :

【目的】
頭頸部癌では,臓器および機能温存を目的に,化学放射線治療が選択される症例が増加し,頸部リンパ節転移制御のため,いかに正確に治療効果を判定するかが問題となっている.今回,頭頸部癌のうち,特に頸部リンパ節転移の頻度が高く,頸部リンパ節転移の制御が直接予後に関係する癌である咽頭癌症例を対象とし,超音波検査Bモード法,カラードプラ法,エラストグラフィを用い,頸部リンパ節転移の化学放射線治療による変化を観察して,臨床経過との関係につき検討したので報告する.
【対象および方法】
2004年3月から2009年6月までに化学放射線治療を施行した咽頭癌頸部リンパ節転移陽性例のうち,治療前および治療後に超音波Bモード法,カラードプラ法およびエラストグラフィで治療前後の変化を観察することができた8症例(下咽頭癌5例,中咽頭癌3例)を対象とし,治療による画像上の変化と,治療後の臨床経過につき検討した.エラストグラフィの判定にはリンパ節のパターン分類(図)を用いた.転移リンパ節が複数個ある場合は,エラストグラフィで,治療前のリンパ節の硬さが最も硬いと判断されたリンパ節を評価対象とした.
【結果】
Bモード画像で転移リンパ節がほとんど消失した症例,リンパ節が残存するもののカラードプラ法でリンパ節内部の血流が見られなくなった症例,エラストグラフィでリンパ節の硬さが軟らかく変化した症例の臨床経過は良好であった.一方,リンパ節が明らかに残存し,さらにリンパ節内の血流が残っている症例,転移リンパ節の硬さが変わらないか,より硬くなった症例の臨床経過は不良であった.
【結論】
超音波Bモード画像に加えて,カラードプラ法による血流や,エラストグラフィによる硬さの変化を知ることは,転移リンパ節治療効果判定に有用な情報となり得ると思われた.