Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般口演
頭部:頭頸部

(S457)

高コレステロール血症と高血圧症の内服薬による頚動脈プラークの進展の比較検討

Comparison between the effects of anti-hypercholesterolemic and anti-hypertensive drugs in the progression of carotid artery plaque.

西塚 望美1, 新江 明子1, 中鉢 由香1, 永井 俊一2

Nozomi NISHIZUKA1, Akiko ARAE1, Yuka CHUBACHI1, Shunichi NAGAI2

1医療法人永井医院検査, 2医療法人永井医院循環器内科

1Yamagata Japan, Nagai Clinic, 2Yamagata Japan, Nagai Clinic

キーワード :

【はじめに】
昨年の日超医で,高コレステロール血症(以下HC)は高血圧症(以下HT)や糖尿病(以下DM)に比べて頚動脈プラークへの関与は少ないことを報告した.内服治療を行っている患者を対象としていたので,スタチンによるプラークの退縮効果が関与している可能性があり,薬剤の影響を検討するためにこの研究を行った.
【目的】
HCとHTの患者において,内服薬の種類により頚動脈プラークの進展に違いがあるかを検討する.
【対象】
HCまたはHTの単独疾患で内服治療を行っている患者のうち,平成19年1月から平成21年12月までの3年間に2回以上頚動脈エコーを行っている患者375名(男性165名,女性210名,平均年齢70.2±11.9歳)を対象とした.このうちHCでスタチン治療をおこなっている68名(65.6±12.1歳)と,HTはCa拮抗薬群85名(74.3±10.1歳),ARB or ACEI群98名(68.3±12.1歳),両者の併用群124名(71.3±11.6歳)に分類し比較をおこなった.
【方法】
頚動脈エコーで左右の総頚動脈,分岐部,内頚動脈の6か所のプラークを含む最も厚い部分の厚みの合計をプラークスコア(PS)とし,4群のPSを比較し,年齢との相関を調べた.また1年前,2年前のPSと比較し,経年変化をみた.
【結果】
PSはスタチン群5.3±2.0,Ca群6.8±3.7,ARB群5.9±2.4,併用群6.5±2.6で,スタチン群でCa群と併用群に対して有意(p<0.01)にPSが小さかったが,年齢も有意(p<0.01)に若く,PSを縦軸,年齢を横軸にした散布図にしてみると4群のグラフはほぼ重なり,各群の差は年齢の影響によるものと考えられた(図).次にPSの経年変化をみたが,スタチン群でのPSの変化は1年前と比較して-0.1±1.5,2年前と比較して-0.2±1.3,Ca群では0.5±1.8,0.3±1.7,ARB群では0.2±1.6,-0.2±1.3,併用群では-0.2±2.1,0.0±1.7で,1年前との比較で併用群がCa群に比較して有意(p<0.05)に退縮していた以外には,各群に有意差は認められなかった.
【結語】
HCのPSが小さいのは対象者の年齢が若いためであり,プラークの進展に内服薬による差はほとんどなかった.