Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般口演
体表:乳腺・甲状腺・新技術

(S453)

乳癌術前化学療法の効果判定における造影超音波検査の検討

Evaluation of contrast enhanced ultrasonography of breast cancer for the primary systemic therapy effect

竹内 浩司1, 堀越 浩幸2

Koji TAKEUCHI1, Hiroyuki HORIKOSHI2

1群馬県立がんセンター技術部, 2群馬県立がんセンター放射線診断部

1Clinical Laboratory, Gunma Prefectural Cancer center, 2Diagnostic Radiology, Gunma Prefectural Cancer center

キーワード :

【はじめに】
現在進行乳がんでは乳癌術前化学療法が広く行われており,治療効果判定は,RECISTに準拠している.超音波検査では,通常のBモード撮像により腫瘍の大きさを測定し,化学療法前後の腫瘍計を比較し治療効果の判定を行っている.しかし,腫瘍計の測定では,腫瘍のviabilityの評価は困難なことがある.今回,超音波検査における造影剤(ソナゾイド)を用いた撮像法で,治療効果におけるviabilityの評価が可能であるかを病理学的腫瘍効果判定と比較し検討をおこなった.また同時に,当院における超音波造影法についても紹介する.
【対象および方法】
対象は,術前化学療法が施行され,病理組織学的効果が判定された37例とした.使用装置は東芝Aplio -XG,探触子はPLT-805ATを使用した.方法は,手術前日に造影超音波検査を実施.造影方法は,造影剤0.7mlをボ−ラスにて投与しHigh MI アドバンスドダイナミックフローモード(以下ADF)を用いた撮像法にて2分後までを観察する.観察は立ち上がりを連続撮像にて観察しその後,間欠送信にて腫瘍の領域性の染まりの状況を確認する.2分後にさらに0.7mlを投与し,MFI(マイクロフローイメージィング)法にて細かい造影効果を観察する.造影効果における判定は,全体に領域として染影像が認められるものを「3+」,一部に領域として染影像の認められるものを「2+」,染影像は認められないが残存血流が認められるものを「1+」,染影像および残存血流も認められないものを「-」とした.造影効果判定で「3+」,「2+」,「1+」と判定したものを腫瘍残存有りとし,「-」であったものを腫瘍残存なしとして検討を行った.画像の判定は,3名の超音波担当者が各々単独にて画像評価を行った.なお,本研究は院内倫理委員会の承認を得たものである.
【結果】
病理学的奏効はgrade0:1例,grade1:14例,grade2:12例,grade3:10例であった.造影超音波検査では,grade0および1における造影超音波検査では造影効果の認められなかった症例は一例もなく,全例で造影効果が認められ腫瘍残存ありと判断した.grade2では12例中4例で造影効果が認められず8例で腫瘍残存ありと判断した.grade3では10例中3例に造影効果が認められ残存ありと判断した.造影超音波検査を用いた造影効果の判定と病理学的完全奏効との間における,感度,特異度,正診率はそれぞれ85%,70%,81%であった.
【まとめ】
造影超音波検査と病理学的完全奏効の間の感度,特異度,正診率では比較的良好な結果が得られ,臨床的に応用可能であると考えられた.