Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般口演
体表:乳腺・表在・その他

(S451)

舌癌における超音波像のサイズと病理標本との比較

Comparison of tongue cancer size and pathologic specimen

石井 純一1, 八木原 一博1, 出雲 俊之2, 柳下 寿郎2, 武藤 吉輝3

Junnichi ISHII1, Kazuhiro YAGIHARA1, Toshiyuki IZUMO2, Hisao YAGISHITA2, Yoshiteru MUTOU3

1埼玉県立がんセンター口腔外科, 2埼玉県立がんセンター病理診断科, 3埼玉県立がんセンター検査技術部

1Department of Oral Surgery, Saitama Cancer Center, 2Department of Pathology, Saitama Cancer Center, 3Department of Clinical Labolatory, Saitama Cancer Center

キーワード :

【目的】
超音波検査は非浸襲性の検査であり,特に細部の診断に有効である.われわれは舌癌の進展範囲を正確に知るために超音波像を参考にしているが,超音波像と切除標本とを比較した研究は少ない.そこで今回,術前の超音波像と切除標本の超音波像とを病理標本と比較し,その有用性を検討することを目的とした.
【対象・方法】
2009年4月から2009年12月までに埼玉県立がんセンター口腔外科を受診した舌癌患者のうち,術前に舌の超音波検査を行い,切除術を受けた10例(男性6例,女性4例,平均年齢54.6歳)を対象とした.実際の検査は以下のように行った.術前の超音波検査はプローブにゼリーをつけゴム膜を介して直接舌粘膜面を走査した.その際,腫瘍の長径,短径,深達度をそれぞれ測定した.また,切除標本をピンで留め生理食塩水中で走査し同様に長径,短径,深達度をそれぞれ測定した.さらに,それらを病理標本の肉眼所見と比較した.使用機種はGE横川メディカルシステムLOGIQ9,使用探触子はリニア型術中プローブil2L,周波数10MHzを用いた.
【結果】
長径は生体エコーで7.2mm〜23.7mm,病理標本では12mm〜30mmであった.超音波像と病理像との相関係数が0.774,有意確率はp=0.009であった.同じく短径は生体エコーで6.8mm〜21.4mm,病理標本では8mm〜24mmであった.相関係数が0.730,有意確率はp=0.016であった.深達度は生体エコーで2.4mm〜10.9mm,病理標本では1mm〜12mmであった.相関係数が0.895,有意確率はp=0.000であった.図は深達度について,病理と生体エコーの散布図ならびに回帰直線と95%信頼区間を示す.回帰直線はY(病理)=-1.61+1.15X(生体エコー)で表された.
【考察および結論】
生体の超音波像と病理像との大きさを比較すると,長径,短径および深達度においてそれぞれ高い相関を示した.よって,超音波像がかなり正確に腫瘍を描出していると考えられた.今後,症例数を増やしさらに検討することにより,結果を治療に生かしていきたい.