Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般口演
体表:乳腺・表在・その他

(S449)

正常乳腺Bモードエコー像の分類と組織像−なぜ正常乳腺は高エコーを呈するのか−

Evaluation of the classification of the normal breast echogram and the histopathology-Why normal breast tissue is high echo level?-

森田 孝子

Takako MORITA

中日病院乳腺科

Breast Clinic, CHUNICHI HOSPITAL

キーワード :

【はじめに】
乳房組織は大きさ,脂肪-乳腺組織の組成に関して個人差が多く,標準画像を構築するあるいは病変の検出のしやすさについて,社会的また臨床の現場で正常乳腺B-モード画像の分類をすることは意味があると考える.我々はJABTSの精度管理班の小委員会で分類のしかたを検討してきたが,分類された画像所見がどのような組織像を呈しているのか不明であった.分類をした正常乳腺について超音波像と組織像を対比して検討したので報告する.
【対象と方法】
正常乳腺エコー像を①低エコー性②豹紋状③混合性④委縮性⑤脂肪性と5つに分類した.これらの分類をした乳がん症例10例について超音波画像と組織像を可及的に対比した.
【結果】
低エコー性の超音波画像は,脂肪が少なく乳腺エコーが全体に低エコーを示す.この組織像では,結合織内に脂肪細胞の入りが全くなかった.豹紋状乳腺のエコー像は,高エコーを背景に低エコー領域が規則正しく存在し,いわゆる豹紋様である.その組織像は乳腺小葉,乳管および固有間質部位が低エコーになり,結合織内には脂肪細胞が散在して存在し,このために高エコーを呈した.混合性では,脂肪層に対して乳腺組織が凸であり,乳腺内エコーは小葉,乳管系の低エコーが散在し,結合織は高エコーを呈した.組織像では,結合織に脂肪細胞が散在し,豹紋様より乳管系構造がまばらで委縮していた.委縮性では,脂肪層に対して乳腺組織が凹であり,脂肪層が乳腺層に対して厚い.さらに委縮した乳管系組織および結合織内に多くの脂肪細胞が混在していた.脂肪性は脂肪層の割合が高く,正常乳腺エコーは高エコーで薄くなっている.組織像では,結合織内に層状に脂肪組織が入り,結合線維は縮れ委縮していた.
【考察】
結合織の部位の脂肪細胞の入り方によりエコーレベルが異なる.乳管−小葉系および周囲の固有間質が乳腺エコー内に規則正しい低エコーとし観察された.これらの正常乳腺のバックグラウンドにより病変の認識のしやすさが異なることにより,正常乳腺Bモード画像を分類していくことの重要性が示唆された.