Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般口演
体表:乳腺・表在・その他

(S449)

男性乳癌の超音波像

Ultrasonography of male breast carcinoma

小松 誠

Makoto KOMATSU

相澤病院外科

Department of Surgery, Aizawa Hospital

キーワード :

【目的】
比較的稀な,男性乳癌5例の超音波像について,特に女性化乳房の超音波像との鑑別の観点から,報告する.
【対象ならびに方法】
2005年から2009年までの5年間に当科で診断した男性乳癌5例を対象とした.同時期に穿刺吸引細胞診にて確認した女性化乳房15例を比較対照とした.
【症例】
症例1.右Eに56×67mm,境界明瞭,内部は嚢胞部分と充実性部分が混在し,充実性部分は石灰化を伴い,内部血流が認められ,乳癌を疑う.症例2.右EACに16×24×13mm,境界明瞭,辺縁不整,内部は嚢胞部分が主体であり,乳癌を疑う.症例3.左ECに9×17mm,境界明瞭,辺縁不整,内部エコー不均一,内部血流が認められ,皮膚浸潤,乳癌を疑う.症例4.右EABに9×7mm,境界明瞭,嚢胞であり,fluid-fluid levelを呈し,乳癌を疑う.症例5.左EAに25×24×14mm,境界明瞭,辺縁整,内部血流が認められ,乳癌を疑う.一方,対照とした女性化乳房のうち,14例はEの境界不明瞭な豹紋状陰影であり,女性化乳房を疑うが,1例はEの境界不明瞭,辺縁不整な低エコーmassであり,超音波像からは女性化乳房と診断できなかった.
【成績】
男性乳癌は5例中4例が偏中心性であったが,女性化乳房は15例全例が乳頭直下,中心性であった.男性乳癌5例全例が境界明瞭であり,女性化乳房は15例全例が境界不明瞭であった.男性乳癌,5例中1例のみが石灰化像を伴っていた.男性乳癌,5例中3例で嚢胞性部分を伴っていた.男性乳癌,5例中3例で充実性部分で血流を認めた.女性化乳房,15例中1例は境界不明瞭,辺縁不整な低エコーmassであった.
【考察】
男性乳癌は,偏中心性なものが多く,石灰化像を伴うものが少なく,嚢胞性部分を伴うもの,境界明瞭なものが多く,女性乳癌とは異なっていた.女性化乳房との鑑別では,男性乳癌は偏中心性なもの,境界明瞭なものが多く,女性化乳房には中心性なもの,境界不明瞭なものが多く,女性化乳房の中には稀に低エコーmassに見えるものがあり,注意が必要であった.