Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般口演
体表:乳腺・甲状腺・診断

(S448)

甲状腺未分化癌の石灰化像の検討

Study of calcification in undifferentiated carcinoma of the thyroid

太田 寿1, 河合 岳郎1, 大下 真紀1, 森田 新二1, 福島 光浩2, 廣川 満良4, 小林 薫2, 網野 信行3, 宮内 昭2

Hisashi OTA1, Takeo KAWAI1, Maki OSHITA1, Shinji MORITA1, Mitsuhiro FUKUSHIMA2, Mitsuyoshi HIROKAWA4, Kaoru KOBAYASHI2, Nobuyuki AMINO3, Akira MIYAUCHI2

1隈病院臨床検査科, 2隈病院外科, 3隈病院内科, 4隈病院病理科

1clinical examination, kuma hospital, 2surgery, kuma hospital, 3internal medicine, kuma hospital, 4pathology, kuma hospital

キーワード :

【はじめに】
甲状腺未分化癌は,甲状腺癌の1〜2%を占め稀ではあるが極めて悪性度の高い癌である.一部の例外を除いて長期生存は望めず,1年以内に死亡するものが圧倒的に多い.未分化癌の特徴は,検査初診時既に大きな頸部腫瘤を呈し,遠隔転移も多く進行した状態で外来を受診するものがほとんどである.超音波検査では,腫瘍の内部壊死の影響によりドプラ法では血流シグナルは非常に乏しい.また腫瘤内部に石灰化像を認める場合が多い.その未分化癌の組織では,一部に分化癌(乳頭癌・濾胞癌・低分化癌)が認められる場合が多く,これは未分化癌の先行病変として考えられている.そこで今回我々は,未分化癌のその先行病変と思われる石灰化像について検討した.
【対象と方法】
当院で2004年から2009年の間において病理組織学的に甲状腺未分化癌と診断された23例を対象とし,腫瘍内部の石灰化像の形状について超音波像とCT画像をretrospectiveに検討した.使用した超音波装置は,東芝Aplio 80,9MHzと14MHzの電子リニアプローブを用いた.
【結果】
未分化癌23例中16例(69.6%)で石灰化像を認めた.石灰の形状 卵殻状:12例,塊状:4例石灰全体では16例中12例(75.0%)は卵殻状の石灰であった.
【考察】
1)高齢で分化癌の経過観察は未分化転化に注意が必要であるが,卵殻状の石灰化像を伴う場合は更に要注意とされる.2)濾胞性腫瘍,分化癌の手術患者で卵殻状の石灰化像を伴う症例は全摘を勧めるべきなのか.
【まとめ】
未分化癌において先行病変と思われる石灰化像は,69.6%で認められた.その形状は未分化癌からみれば卵殻状(52.2%),塊状(17.4%) で認められ卵殻状で未分化転化が多いと言える.