Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般口演
体表:乳腺・甲状腺・診断

(S447)

乳がんにおける腋窩リンパ節転移の超音波像について

Ultrasonographic findings of the breast cancer axilla lymph node metastasis

甲 都美1, 倉重 康彦1, 八田 麻美1, 新美 貴子1, 尾崎 祐子1, 田中 喜久2, 古賀 伸彦3

Satomi KABUTO1, Yasuhiko KURASHIGE1, Asami HATTA1, Takako NIIMI1, Yuuko OZAKI1, Yoshihisa TANAKA2, Nobuhiko KOGA3

1医療法人天神会新古賀病院臨床検査部, 2医療法人天神会新古賀病院乳腺外科, 3医療法人天神会新古賀病院循環器内科

1Clinical laboratory, Iryouhoujinntennjinnkai Shinnkoga Hospital, 2Breast Surgery, Iryouhoujinntennjinnkai Shinnkoga Hospital, 3Circulatory Organ Internal Medicine, Iryouhoujinntennjinnkai Shinnkoga Hospital

キーワード :

【はじめに】
乳がんの腋窩リンパ節転移は,予後因子の一つとして非常に重要である.しかし,画像上,リンパ節転移を術前に正確に診断することは困難で,特に非触知のリンパ節に対して,良悪性の有無の判断を行う事が重要である.一方,近年,進行癌に対して術前化学療法(NAC)が盛んに行われており,術前のリンパ節転移診断は,臨床上極めて重要となっている.
【目的】
転移性腋窩リンパ節の超音波検査所見とコアニードルリンパ節生検(CNLB)の対比を行い,転移性腋窩リンパ節の超音波像を検討する.今回,特にN因子 N0の超音波像についての検討を行った.
【対象】
対象は,2005年6月から2009年11月までに当科で乳がんと診断した324例で,そのうち腋窩リンパ節転移を疑いCNLBをおこなった89例(男;1例,女;88例).
【方法】
CNLBは16G Bard Magnum-needleで,1個のリンパ節に2回行い,病理組織学的に転移を確認した.1)N因子別にCNLB結果の検討を行った.2)N因子N0の超音波所見を以下のように分類し検討した.U1.リンパ門を有し,皮質肥厚がないものU2.リンパ門を有する皮質肥厚(肥厚は皮質の厚さ≧リンパ門の厚さと定義)U3.リンパ門の欠如さらに,かどやけばだち,くびれの有無について以下のように分類した.A.かどくびれなしB.かどくびれあり
【結果】
N因子別での検討によるとN2,N3は全例が転移陽性で,N1も91.3%が転移陽性であった.しかし,N0では28.9%が転移陽性で,68.4%が転移陰性と陽性は低率であった(表1).次にN因子N0(表2),N1-3(表3)とした症例の超音波像を分類した.N因子N0の皮質肥厚,リンパ門消失の検討は,感度 100%,特異度 26.9%,正診率 50%.N1-N3が,感度 100%,特異度 0%,正診率 94.8%であった.かどやけばだちの有無の検討は,N因子N0が感度 72.7%,特異度92.3%,正診率86.1%.N1-3が,感度 90.1%,特異度100%,正診率91.4%であった.
【結語】
N因子N1-3は,CNLBの結果,高い陽性率を示した.一方,N0は転移陽性率が低かったため,超音波像での検討を行った.結果,N因子別の超音波所見の比較ではN0は,かどやくびれを考慮した場合に高い確率で転移陽性のリンパ節を検出できていた(表2).N1-3では,皮質肥厚やリンパ門消失の所見で転移陽性のリンパ節を検出できていた(表3).特にN0における超音波ガイド下CNLBは超音波像を考慮し生検リンパ節の適応を的確に選択すれば高い確率で転移症例を選別できると考えた.