Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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cover

2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般口演
体表:乳腺・甲状腺・診断

(S446)

穿刺吸引細胞診検査で悪性と診断できなかった乳癌の超音波像の検討

The ultrasound findings that is difficult to diagnose as breast cancer by fine needle aspiration cytology.

亀井 桂太郎, 磯谷 正敏, 原田 徹, 金岡 祐次, 前田 敦行, 高橋 祐, 柴田 耕治, 砂川 真輝

Keitaro KAMEI, Masatoshi ISOGAI, Toru HARADA, Yuji KANEOKA, Atsuyuki MAEDA, Yu TAKAHASHI, Koji SHIBATA, Masaki SUNAGAWA

大垣市民病院外科

Surgery, Ogaki Municipal Hospital

キーワード :

【目的】
乳癌の確定診断のために行う穿刺吸引細胞診検査(FNAC)で診断が困難な症例の超音波画像を検討する.
【対象と方法】
2006年1月〜2009年8月までの乳癌手術症例433例中,370例に対してFNACを行った.FNACで悪性と診断した(悪性群)295例とFNACで悪性疑い以下の診断であった(非悪性群)75例について,組織型,超音波像を比較検討した.
【結果と考察】
組織型を悪性群と非悪性群とで比較すると硬癌は悪性群の31.9%,非悪性群の18.7%と悪性群で多く,一方,非浸潤性乳管癌,浸潤性小葉癌は非悪性群で多い傾向があった.超音波診断のカテゴリーはカテゴリー5が悪性群の45.2%,非悪性群の25.3%,以下カテゴリー4でそれぞれ48.2%,46.7%,カテゴリー3で4.8%,25.3%,カテゴリー2以下で1.7%,2.6%であった.カテゴリー5の症例は悪性群で多く,カテゴリー3の症例は非悪性群で多い傾向があった.超音波検査で悪性を強く疑う症例では,FNACでも悪性を示すことが多く,非浸潤性乳管癌や浸潤性小葉癌のような超音波検査で良悪の鑑別に迷う症例では,FNACでも診断しにくい傾向がみられた.腫瘤像形成性病変か腫瘤像非形成性病変かについては,悪性群の94.3%,非悪性群の90.3%が腫瘤像形成性病変を呈した.腫瘤の形状については円形のものは悪性群の13.9%,非悪性群の25.8%であり,以下,楕円形ではそれぞれ12.5%,9.1%,多角形では13.2%,12.1%,分葉形では30.4%,16.7%,不整形では30.0%,36.4%であった.円形のものは非悪性群で多く,分葉形のものは悪性群で多い傾向があった.後方エコーレベルについては,増強を認めたものは,悪性群で40.0%,非悪性群で30.8%,不変がそれぞれ28.2%,36.9%,減弱が34.1%,29.2%,消失,欠損が0.7%,0.3%であった.悪性群で増強するものが多く,非悪性群で不変のものが多い傾向があった.境界部,内部エコーの均質性,エコーレベルについては悪性群,非悪性群で差を認めなかった.
【結語】
超音波検査で円形,後方エコーレベルが不変であるものを含めて超音波検査像で明らかな悪性とは言い難い症例では,FNACで診断しにくい乳癌が多い傾向がみられた.