Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般口演
腎・泌尿器:腎・尿路

(S443)

当院検診USで検出された無症状腎癌の予後②

Prognosis of renal cell carcinoma by ultrasonic mass screening

寺沢 良夫1, 広田 むつ子2, 須藤 誠二2, 野村 禎子2, 野村 幸宏2, 鈴木 とよみ2

Oshio TERASAWA1, Mutsuko HIROTA2, Seiji SUTOU2, Yoshiko NOMURA2, Yukihiro NOMURA2, Toyomi SUZUKI2

1仙台社会保険病院内科, 2仙台社会保険病院超音波検査室

1Internal Medicine, Sendai Syakaihoken Hospital, 2Ultrasonic Laboratory, Sendai Syakaihoken Hospital

キーワード :

【目的】
検診USにより,無症状腎癌(RCC)が検出されるようになり,その予後が良くなってきた.しかし無症状RCCの予後についての検討は少ない1).当院検診USで検出し,手術で確定診断されたRCCの転移死亡例が7人(13%)と報告した1).今回は,病理学的にRCCの転移と証明された2人を加えて,検診RCCの予後とその問題点を検討した.
【対象】
1984.4〜2009.12までの当院RCC手術例は,1067人である.このうち検診腎癌は297人(28%,当院検診例:68人,他院検診紹介例:229人)であった.当院症例68人のうち腎癌転移例9人について検討した.
【結果】
1.当院検診RCC68人のうち,病理学的に確定診断がついた転移症例は9人(13%,転移死亡例7人:10%,生存例2人:3%)2.転移死亡例(7人)のRCC摘出腫瘍径,術後生存期間1)7cm(9Y1M),4.5cm(13Y),4.0cm(5Y5M),7.0cm(3Y11M),4.8cm(7Y4M),8.0cm(3Y4M),5.0cm(1Y2M)3.転移死亡例(7人)の転移臓器副腎(3人),体側腎(2人),肺(6人),脳(2人),皮膚(2人),膵(1人)4.RCC転移生存例(2人)①59(68)才男.R.RCC(op.2001.8.14),摘出腫瘍径:4×5.3cm,転移:左右副腎・肺・右大腿骨・左腎(ラジオ波熱凝固術,RFA,2008.2.14,R.RCC術後7Y後)②59(63)才男.R.RCC op(部分切除,2005.4.26)摘出腫瘍径:2.3×2.4cm,2008.6:右股関節痛,CT:右大腿骨腫瘍,biopsy(2008.9.26,R.RCC op後3Y5M):clear cell carcinoma
【まとめ】
検診USによる無症状腎癌と手術療法が,その予後に最も良い方法と考えられる.しかし当院検診RCC68人のうち,術後のRCCの転移例が9人(13%)もあり,その予後向上のためには次のことが考えられた.①さらに小腎癌の検出②検診症例へのUSの完全実施③部分切除適応の再検討
【参考文献】
[1]寺沢良夫,広田むつ子,須藤誠二,野村禎子,野村幸宏,鈴木とよみ:検診USで検出された腎癌の予後,第79回日超医学会講演抄録集,33:S450,2006