Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般口演
産婦人科:胎児機能評価ほか

(S438)

二卵性一絨毛膜双胎の一例

A case of monochorionic dizygotic twins

三浦 清徳1, 肥後 貴史2, 高橋 典子2, 三浦 生子1, 宮本 正史3, 吉田 敦1, 山崎 健太郎1, 増崎 雅子1, 吉村 秀一郎1, 増崎 英明1

Kiyonori MIURA1, Takashi HIGO2, Noriko TAKAHASHI2, Shoko MIURA1, Masashi MIYAMOTO3, Atsushi YOSHIDA1, Kentaro YAMASAKI1, Masako MASUZAKI1, Shuichiro YOSHIMURA1, Hideaki MASUZAKI1

1長崎大学医学部産婦人科, 2古賀総合病院産婦人科, 3淵レディースクリニック産婦人科

1Obstetrics and Gynecology, Nagasaki University School of Medicine, 2Obstetrics and Gynecology, Koga General Hospital, 3Obstetrics and Gynecology, Fuchi Ladys Clinic

キーワード :

【症例】
症例は29才の初産婦で,クロミッドおよびHCGを用いた不妊治療により妊娠が成立した.妊娠初期に双胎妊娠であることを確認され,超音波検査による膜性診断は一絨毛膜二羊膜と診断された.しかし,双胎間の性別が異なっていたため,二卵性一絨毛膜双胎を疑われた.分娩後,やはり両児の性は異なっており,一児は女児で他児は男児であり,胎盤の病理検査で一絨毛膜二羊膜であった.当科で12種類のABIリンケージマーカーを用いてDNA多型解析を行い,5種類のマーカー(D19S420,D19S414,D20S171,D20S196およびD20S889)において両親の遺伝子型がヘテロ接合かつ異なっていたためこれらをinformativeマーカーとした.D19S420を用いた母親の遺伝子型は100bpと108bp,父親のそれは108bpと110bpであった.口腔粘膜細胞および臍帯から抽出されたDNAにおける一児の遺伝子型はいずれも100bpと108bp,他方の児のそれはいずれも108bpと110bpであり,双胎児は両親からそれぞれ異なる遺伝子型を受け継いでいることが確認された.D19S414およびD29196を用いた遺伝子型解析でも同様の結果が確認され,本例は二卵性一絨毛膜双胎と診断された.一方,D19S420における一児の臍帯血および他児の末梢血からいずれも3種類のアレル(100bp,108bpおよび110bp)が検出され,臍帯血を介して血液細胞に限局したキメラが存在していることが確認された.
【考察】
一絨毛膜双胎であれば一卵性であると考えられてきたが,2003年から現在までに10例以上の不妊治療に関連した二卵性一絨毛膜双胎が報告されている.ほとんどの症例が一絨毛膜であるが双胎間の性別が異なることがきっかけになり,卵性診断を行うことではじめて二卵性一絨毛膜双胎と診断されている.性別が同一のケースを考慮すると,二卵性一絨毛膜双胎は把握されている症例の少なくとも2倍は存在するものと推定される.