佐々木 睦子^{1, 2}, 栁原 敏宏¹, 内藤 直子², 秦 利之¹

Mutsuko SASAKI^{1, 2}, Toshihiro YANAGIHARA¹, Naoko NAITOH², Toshiyuki HATA¹

¹香川大学医学部母子科学講座周産期学婦人科学, ²香川大学医学部看護学科母性看護学

¹Department of Perinatology and Gynecology, School of Medicine, Kagawa University, ²Department of Maternity Health Nursing, School of Medicine, Kagawa University

キーワード :

【目的】
本研究の目的は，4次元超音波（4D）を用いて，妊娠10-13週の双胎児の接触行動を観察し，二絨毛膜性二羊膜双胎（Dichorionic Diamniotic twin：DD）と一絨毛膜性二羊膜双胎（Monochorionic Diamniotic twin：MD）の違いについて比較分析することである．
【方法】
当院の産婦人科外来で妊婦健診を受けている，妊娠10-13週のMD妊婦6名とDD妊婦8名で同意書による同意を得たものを対象とした．母体合併症や産科異常のあるものは除外した．本研究は本学倫理委員会の承認を得て実施した．4D超音波はVoluson730 Expertを用い経腹的に30分間連続的に観察し，記録したビデオテープから双胎児の接触行動を検出した．解析は妊娠10-11週と12-13週のMDとDDについて，双胎間の接触10パターンの頻度をmedianとrangeで表した．MDとDDのそれぞれ妊娠10-11週と12-13週の総接触数について，Mann- Whitney- Wilcoxon testで比較検討した．また双胎間の接触10パターンについて，それぞれ妊娠10-11週と12-13週とMDとDDの比較をKruskal-Wallis one way analysis of varianceで検討し，有意差がみられた接触パターンについてmultiple comparisonsで各群を検討した．さらにMDとDDのそれぞれ妊娠10-11週と12-13週の胎位についてMann- Whitney- Wilcoxon testで比較検討した．統計処理はSPSS version16 for Windowsを用いて行い， p ＜ 0.05を有意差ありとした．
【結果】
DDの妊娠10-11週（median: 4.5, range: 0-52）と妊娠12-13週（median: 132, range: 19-223）で，総接触数に有意差がみられた（ p ＜ 0.05）．しかし，MDの妊娠10-11週と12-13週の間では差は認められなかった．妊娠10-11週で，MD（median: 151.5, range: 43-277）とDD（median: 4.5, range: 0-52）の総接触数に有意差がみられた（ p ＜ 0.05）．しかし，妊娠12-13週のMDとDD間では，総接触数に差は認められなかった．
頭部-上肢の接触数が，MDとDDの妊娠10-11週と12-13週でそれぞれ有意差がみられた（ p ＜ 0.05）．また妊娠10-11週と12-13週のMDとDDでそれぞれ有意差が見られた（ p ＜ 0.05）．さらに頭部-躯幹，上肢-上肢，上肢-躯幹の接触数が，MDとDDの妊娠10-11週と妊娠12-13週でそれぞれ有意差が見られた（ p ＜ 0.05）．また，妊娠10-11週のMDとDDで有意差がみられた（ p ＜ 0.05）．
MDとDDの妊娠10-11週と12-13週の胎位に差は認められなかった．
【結論】
4D超音波は，妊娠第一三半期後期の双胎間接触行動を評価する有用な手段であり，双胎児の行動研究において，的確で信頼性が高い方法であることが示された．