Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般口演
産婦人科:胎児診断(3)

(S428)

Amniotic band syndromeの診断における3D/4D超音波の有用性

3D/4D sonographic evaluation of amniotic band syndrome: Case reports

野口 純子1, 2, 田中 宏和1, 秦 利之1

Junko NOGUCHI1, 2, Hirokazu TANAKA1, Toshiyuki HATA1

1香川大学医学部母子科学講座周産期学婦人科学, 2香川県立保健医療大学保健医療学部看護学科

1Department of Perinatology and Gynecology, Kagawa University School of Medicine, 2Department of Nursing, Faculty of Health Sciences, Kagawa Prefectural Coleege of Health Sciences

キーワード :

【緒言】
Amniotic band syndrome(羊膜索症候群)は,1,200から15,000の分娩に1例の発生率であり,頭蓋,顔面,四肢,内臓,体壁などの広範な領域の非対称性な多発奇形を特徴とする先天性奇形症候群で多くは致死的である.2次元超音波検査による羊膜索症候群の報告は多数認められているが,3次元・4次元超音波による報告は僅か2例のみであり,そのうち1例は我々が以前報告した症例である1,2).今回さらに2例の症例を経験し,羊膜索症候群の診断における4次元超音波の有用性について検討したので報告する.
【症例1】
28歳.初妊婦.自然妊娠にて妊娠成立.妊娠10週頃より胎児の頚部から後頭部にかけてのわずかな突出がみられはじめ,妊娠11週にはさらに大きくなっていったため,妊娠12週3日に当科紹介となった.2次元及び3次元・4次元超音波検査(GE Medical Systems,Voluson E8.経膣プローべ 4.5-11.9 MHz)にて,頭蓋骨欠損が確認された.本人と夫には,妊娠の継続は困難であることを話した上で,再度診察後に最終判断を行う予定とした.妊娠13週3日の3次元・4次元超音波検査にて,無頭蓋,手指の欠損,両足の足趾の欠損及び多数の羊膜索が確認された.本人と夫には,羊膜索症候群であり致死的な状態であることが説明され,妊娠13週6日に人工流産術が施行された.児は,体重23g,身長11cm.多数の羊膜索(両手から両足部,後頚部から臍帯胎盤側基部),無頭蓋,右手指全欠損,左手指部分欠損,両足趾全欠損を認めた.
【症例2】
29歳.初妊婦.自然妊娠にて妊娠成立.妊娠15週3日の超音波検査時に胎児の頭部異常を指摘され,前医より当科紹介となった.2次元超音波検査では,無頭蓋を認めた.さらに,3次元及び4次元超音波検査(GE Medical Systems,Voluson E8.経腹プローべ 2-5 MHz)では,頭部から臍帯付着部に太い羊膜索が付着し,両手にも細い羊膜索が付着していることが観察された.本人及び家族に,超音波検査の画像を見せながら児の状況の説明を行った結果,本人と家族の希望もあり妊娠15週5日に人工妊娠中絶術を施行した.児は,体重75g,身長15cm.羊膜索(頭部から臍帯付着部に太い羊膜索,両手に細い羊膜索),無頭蓋,口蓋裂,合指症を認めた.
【結語】
2次元超音波では,羊膜索の存在やその動きを観察することは難しいが,3次元・4次元超音波では,羊膜索の動きを含むその付着部位の同定が可能であった.さらに,胎児の手指・足趾の欠損などがより詳細に観察できた.3次元・4次元超音波検査は,羊膜索症候群における羊膜索の付着部位の客観的評価及び胎児の先天異常の詳細な描出が可能であり,医療従事者及び患者と家族への視覚的な情報を提供する事ができる有用な検査法である.
【文献】
[1]Paladini D, et al. Ultrasound obstet Gynecol 2004;23:520.
[2]Inubashiri E, et al. Journal of Clinical Ultrasound 2008;36:573-575.