Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般口演
産婦人科:胎児診断(2)

(S426)

胎児形態異常検出率と胎児超音波スクリーニング4回施行の有用性

Detection rate of fetal malformations and utility of ultrasonographic screening four times

吉田 英美, 芳野 奈美, 大川 朋子, 内田 純子, 田坂 知子, 磯部 美苗, 井上 アキ, 竹村 秀雄

Emi YOSHIDA, Nami YOSHINO, Tomoko OKAWA, Junko UCHIDA, Tomoko TASAKA, Minae ISOBE, Aki INOUE, Hideo TAKEMURA

小阪産病院医療技術部超音波室

Department of Ultrasound, KOSAKA WOMENS HOSPITAL

キーワード :

【目的】
当院はローリスク分娩を主に取り扱いハイリスク例は母体や新生児搬送で高次医療施設に依頼している.超音波室には日超医認定の検査士が4名おり妊産婦すべてを対象に妊娠中4回の胎児超音波スクリーニング検査と医師の指示による精密検査を行っている.今回超音波検査による胎児形態異常検出率と4回のスクリーニング体制の有用性を検討した.
【方法】
スクリーニングを妊娠初期(10〜13週)中期Ⅰ(18〜21週)中期Ⅱ(26〜29週)後期(34〜37週)の4回に増やした2004年から2008年までの5年間に,超音波スクリーニングを行った10275例を対象とした.胎児形態異常を中枢神経系,顔面・頸部,胸部,心臓・大血管系,消化器系,泌尿・生殖器系,四肢・骨格系,その他の8項目に分類し5年間の胎児形態異常検出率を算出した.判定方法については出生前に超音波検査で異常を指摘し出生後の診断と一致した場合を検出とした.さらに異常を検出し得た症例について異常を発見したスクリーニングを時期別に分けて4回制スクリーニングの有用性について検討した.
【結果】
全症例10275例中形態異常児の総数は349例(罹患率3.40%)で出生前に検出できたのは197例検出率56.4%であった.8項目に分類した胎児形態異常の出生前検出率は,中枢神経系87.5%,顔面・頸部57.7%,胸部75.0%,心臓・大血管系39.1%,消化器系53.8%,泌尿・生殖器系96.4%,四肢・骨格系32.4%,その他74.2%であった.さらに異常を検出できた197例について異常を認めたスクリーニング時期をみると妊娠初期38例19.3%,中期Ⅰ40例20.3%,中期Ⅱ5例27.9%,後期64例32.5%であった.
【考察】
日産婦の統計では出生前の胎児奇形発見率は56.7%(罹患率1.87%)と報告されており,ほぼ同様の検出率であった.妊娠初期には絶対予後不良の疾患,中期Ⅰでは四腔断面に異常をきたす心疾患の検出率が高かった.また中期Ⅰで検出出来なかった重症心疾患など母体搬送を必要とする症例は中期Ⅱまでの検出率が高かった.しかし妊娠後期になって増悪する異常や正常像から変異の少ない小奇形は後期の検査で検出されることもあり4回のスクリーニングはそれぞれの時期に応じた役割を果たしている.また検査技師による系統的なスクリーニング体勢は有用であると思われた.