Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般口演
産婦人科:胎児診断(2)

(S426)

技師を対象とした研究会 -神奈川胎児エコー研究会-

The report of the kanagawa fetal echo meeting for the study

清水 安子1, 川滝 元良2, 石山 昭彦3, 小谷 よしみ4, 田口 知里5, 田中 美恵子6, 辻村 久美子7, 林 利江8, 岩崎 輝江9

Yasuko SHIMIZU1, Motoyoshi KAWATAKI2, Akihiko ISHIYAMA3, Yoshimi KOTANI4, Chisato TAGUCHI5, Mieko TANAKA6, Kumiko TSUJIMURA7, Rie HAYASHI8, Terue IWASAKI9

1東海大学医学部付属大磯病院中央臨床検査科, 2神奈川県立こども医療センター新生児科, 3国立精神・神経センター小児科, 4湘南鎌倉総合病院検査部, 5(医)ワイズレディスクリニック臨床検査科, 6おおわきレディスクリニック検査科, 7コシ産婦人科医院超音波検査室, 8医療法人愛育会愛育病院検査室, 9GEヘルスケアジャパン株式会社.

1Central Clinical Labolatory, Tokai University Oiso Hospital, 2Department of Neonatology, Kanagawa Children’s Medical Center, 3Department of Pediatrics, National Center Hospital of Neurology and Psychiatry, 4Department of Laboratory, Shounan Kamakura General Hospital, 5Clinical Laboatory, Y’s Ladies Clinic, 6Clinical Laboatory, Ohwaki Lladies Clinic, 7Clinical Laboatory, Koshi Obstetrics and Gynecology Clinic, 8Laboatory, Aiiku Hospital, 9GE Healthcare Japan

キーワード :

【はじめに】
昨今の厳しい周産期医療の中,妊婦健診などの産科一次医療で果たす検査技師の役割は極めて大きい.しかし,その基盤となる教育環境は十分ではない.本研究会は胎児超音波診断の追求と知識の交流を通じて,臨床医に信頼される情報を提供し胎児医療に貢献することを目的とし発足した.
【開催記録とアンケート調査からの報告】
『神奈川胎児エコー研究会』は2003年3月に発足した会である.開催地は神奈川県立こども医療センター,これまでに37回目を迎え延べ参加者数は1800人を越えた.当初は会の運営に携わる世話役(検査技師,医師など)が中心となり内容や招聘する講師を提案してきたが,ここ最近では参加者からの要望を考慮しながら企画をするように努めている.講演者は各専門分野の医師,また検査技師が自ら症例や疾患をまとめプレゼンテーションする積極的な勉強会となっている.その内訳は医師 134回,技師 65回,その他 12回であった.講演内容には以下のようなものがある.毎回行っている心エコーシリーズは,川滝医師による胎児心エコーを軸にスクリーニングから代表的な心疾患を多角的視野から何度も繰り返し行っている.心臓以外では内科疾患16回,中枢神経系15回,外科治療14回,遺伝関連6回,超音波基礎9回,施設紹介4回,特別講演などがある.また,通常の研究会のほかにアドバンス講習会や学会にリンクしたものなども開催してきた.当初,技師が中心で始まった研究会であったが回を増すごとに職種も増え,医師,看護師,助産師,放射線技師,薬剤師など職種も多彩である.職種別でみると2008年は技師52%:医師40%であったものが2009年は技師45%:医師48%と医師の増加が目立つ.科別では産婦人科医と小児科医でおおよそ3:1〜2の比率である.また参加者を地域別でみると,その内訳は関東77%(神奈川45%),中部8%,近畿7.5%,九州・沖縄3%,東北・北海道 2%,四国1%,北陸,中国,甲信越 0.5%など全国に広がっている.
【現状での評価とこれからの課題】
参加者からは『たくさんの症例を見ることができて良かった』と動画症例の呈示が好評である.その理由は説明を聞きながら,具体的な症例を繰り返し見ていくことで,ポイントが理解しやすいという意見であった.その他にも『診断,治療,予後がわかり勉強になった』,『他施設での話は参考になる』などの声が聞かれる.個人が遭遇する症例には限りがあるが,多くの症例を持ち寄ることで知識の共有や情報交換ができることは最大のメリットである.参加者からの要望には日常検査で悩む所見,具体的な疾患そして治療などさまざまな領域からの講義が望まれている.アンケート調査によると技師の胎児心エコー経験年数は,6ヶ月未満が45%,半年〜3年未満が44%と比較的経験の浅い方も多い.しかし,研究会でディスカッションされる内容は医師の増加に伴い高度になりつつある.参加者からは講義内容を理解することが困難であったという声が聞かれることがある.『専門用語が多く理解しにくい』,『症例を少しゆっくり説明してほしい』,『苦手な分野を繰り返しやってほしい』,『基礎の講義を聴きたい(途中参加なので)』という検査技師の声もあり,企画する内容にも配慮が必要である.
【おわりに】
本研究会は単にエコー所見を学ぶことに終始するのではなく,病態全体や多領域からのアプローチにより臨床医の考えを知る貴重な機会である.技師として臨床に役立つ情報を的確に提供する力を身につけ,役割や責任を自覚しつつ共に学びあえる場となるように努めていきたい.