Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般口演
消化器:胆嚢

(S418)

胆嚢線維性ポリープの超音波像(再考)

Reevaluation of sonographic appearances of fibrous polyps of the gallbladder

松田 正道1, 渡邊 五朗1, 橋本 雅司1, 宇田川 晴司1, 奥田 近夫2, 竹内 和男2

Masamichi MATSUDA1, Gorou WATANABE1, Masaji HASHIMOTO1, Harushi UDAGAWA1, Chikao OKUDA2, Kazuo TAKEUCHI2

1虎の門病院消化器外科, 2虎の門病院消化器科

1Surgery, Toranomon Hospital, 2Gastroenterology, Toranomon Hospital

キーワード :

【目的】
胆嚢線維性ポリープは病理学的に,線維芽・線維細胞と,粗な膠原線維から構成されるポリープである.稀な病変で散発的な報告をみるに過ぎない.1991年(第59回)の本学会で我々は,そのUS像の特徴を,低い内部エコーと表面を縁取る高エコーであるとした.今回の報告は,その後の症例蓄積に伴いUS像の再考を行ったものである.
【対象】
当科で経験した線維性ポリープ 8 例の肉眼像と組織像を検討した.
【成績】
大きさは8から16mm,6例が単発であった.肉眼的には全て黄色調,類球形で,表面は分葉状,あるいは小顆粒状〜粗大結節状を呈した.組織学的には全て固有上皮型のポリープで,上皮形態,固有層の腺管構造・浮腫・泡沫細胞の多寡は線維増生の程度により異なっていた.US上は低い内部エコーを基本としたが,種々の上皮形態を反映し,分葉状から結節状まで多彩な形態を呈し,少数ながら泡沫細胞を反映した高エコー斑や拡張腺管を反映した無エコー域を有するものも存在した.
【結論】
固有上皮型のポリープであること,また多寡はあれ粘膜固有層に泡沫細胞が存在することより,線維性ポリープはコレステロールポリープが形態変化したものと推測している.この経時的変化を反映し,US上もコレステロールポリープに近いものから,ポリープ型胆嚢癌に類似したものまで,多段階的な形態を呈するものと考えられた.また線維化が進むにつれて,内部の血管構造が消退し,血流が低下していくものと推測された.