Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般口演
消化器:胆嚢

(S418)

興味ある超音波所見を呈した胆嚢悪性リンパ腫の1例

A case of malignant lymphoma of gall bladder presented interesting ultrasonographic fearure

今福 礼1, 小山 里香子1, 田村 哲男1, 小泉 優子1, 今村 綱男1, 奥田 近夫1, 松田 正道2, 大田 泰徳3, 大橋 健一3, 竹内 和男1

Aya IMAFUKU1, Rikako KOYAMA1, Tetsuo TAMURA1, Yuko KOIZUMI1, Tsunao IMAMURA1, Chikao OKUDA1, Masamichi MATSUDA2, Yasunori OOTA3, Kenichi OOHASHI3, Kazuo TAKEUCHI1

1虎の門病院消化器内科, 2虎の門病院消化器外科, 3虎の門病院病理部

1Department of Gastroenterology, Toranomon Hospital, 2Department of Gastroenterological surgery, Toranomon Hospital, 3Department of pathology, Toranomon Hospital

キーワード :

【はじめに】
消化管の中でリンパ組織に富む胃,小腸,大腸は悪性リンパ腫の好発部位であるが,リンパ組織を欠く胆嚢に悪性リンパ腫が発生することは極めて稀である.今回我々は“イクラの粒状”という稀な超音波画像所見を呈した胆嚢悪性リンパ腫の1例を経験したので報告する.
【症例】
52歳女性.2008年5月,頚部リンパ節腫大を自覚し前医を受診.CTにて頚部,縦隔,腋窩,鼠径リンパ節腫大を認め,鼠径リンパ節生検にて濾胞性リンパ腫(grade3a),stageⅢと診断された.その後当院血液内科にて無加療で経過観察されていた.2009年11月,腹部超音波検査にて胆嚢頚部〜体部にイクラの粒状の径20mm大の隆起性病変を認めた.各々は類球形で高エコーの縁取りを有し,内部は極めて低エコーであった.カラードプラーにて血流シグナルは認めなかった.腹部造影CTでは腫瘤全体が造影された.MRIではT1強調画像で低信号,T2強調画像でも低信号を示す不整形の腫瘤として描出され,MRCPでは膵胆管合流異常は指摘されなかった.超音波内視鏡検査では胆嚢頚部〜体部に数mm大のポリープ様病変が多発しイクラの粒状の形態を呈していた.各々は類球形で高エコーの縁取りを有し,内部は極めて低エコーであった.同年12月,腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行.病理組織検査にて,CD20陽性の小型リンパ球増生を認めB細胞性悪性リンパ腫と診断された.
【まとめ】
リンパ組織を欠く胆嚢に悪性リンパ腫が発生することは極めて稀である.今回我々は全体としてはイクラの粒状で,その一つ一つは輪郭が高エコーであり内部が極めて低エコーという極めて特異で興味ある超音波画像所見を呈した胆嚢悪性リンパ腫の1例を経験した.これまで同病変に特徴的な超音波画像所見に関する詳細な検討はなされていないが,この超音波所見が胆嚢悪性リンパ腫の診断の一助となる可能性があり報告した.