Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般口演
消化器:膵臓

(S416)

膵領域におけるEUS-FNAの有用性

Utility of EUS-FNA in patients with pancreatic tumor

東郷 聖子, 石原 武, 安井 伸, 田村 玲, 三方 林太郎, 多田 素久, 酒井 裕司, 露口 利夫, 横須賀 收

Seiko TOGO, Takeshi ISHIHARA, Shin YASUI, Ryo TAMURA, Rintarou MIKATA, Motohisa TADA, Yuji SAKAI, Toshio TSUYUGUCHI, Osamu YOKOSUKA

千葉大学医学部附属病院腫瘍内科

Department of Medicine and Clinical Oncology, Chiba University Hospital

キーワード :

【目的】
超音波内視鏡下穿刺吸引(EUS-FNA)は膵腫瘤性病変の病理学的診断に頻用される検査法であるが,単独では診断がつかない症例も少なからず経験する.今回,当科における膵腫瘤性病変でのEUS-FNAの成績を評価するとともに,特に偽陰性となった症例の特徴につき検討した.
【対象および方法】
対象は2001年1月より2009年6月までに当科で膵病変に対してEUS-FNAを施行し,かつ最終的に確定診断が得られた105例(男性70例,女性35例)である.EUS装置としてMAJ-1057,EU-C2000 (OLYMPUS),またはMAJ-896(OLYMPUS),SSD-4000(ALOKA)を使用した.穿刺針はEndosonopsy 21G(八光),ECHOTIP 22G(Wilson-Cook)もしくはNA-200H-8022 22G(OLYMPUS)を使用した.EUS-FNAでは,肉眼的に採取検体が確認できるまで穿刺を行い,得られた検体の状態から組織診,細胞診のどちらか一方,もしくはその両者を提出した
【結果と考察】
膵病変105例にたいしてEUS-FNAを施行しており,その最終診断は,膵管癌70例,転移性膵癌2例(腎癌1例,肺小細胞癌1例),自己免疫性膵炎11例,腫瘤形成性膵炎9例,その他の疾患13例であった.一回のEUS-FNA検査での穿刺回数は平均2.44回,診断に十分な検体が採取できたのは87.6%であった.最終診断に基づいたEUS-FNAにおける良悪性の診断能は,Sensitivity83.5%,Specificity100%,Accuracy87.6%であった.検討を行った症例全例において重大な合併症は認められなかった.偽陰性となった13例についてCTでの画像を検討すると,病変の主座が膵より背側方向に存在しているものが4例,腫瘤の大部分をのう胞成分が占めているものが3例,腫瘍自体が10mm程度の小さいものが5例,腫瘍が膵尾端の脾門部に存在するものが1例であった.
【結論】
EUS-FNAは膵腫瘤の病理診断確定に有用であった.偽陰性となった症例の特徴として①病変が小さく不明瞭である ②腫瘤の大半をのう胞成分が占めている ③主座が深部にあり穿刺距離を長くとらなくてはならない病変 に多い傾向があった.