Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般口演
消化器:その他

(S414)

門脈圧亢進症に伴う膀胱静脈瘤-超音波カラードプラ所見を中心に-

Vesical varices with portal hypertension -color Doppler findings-

佐藤 隆啓

Takahiro SATO

札幌厚生病院第3消化器科

Gastroenterology, Sapporo Kosei Hospital

キーワード :

【はじめに】
食道・胃静脈瘤以外の異所性静脈瘤は稀であるが,時に大量出血をきたし生命にかかわることがある.1994年以降,これまで食道・胃静脈瘤1000例以上に内視鏡あるいはIVRによる治療を行ってきた.この期間に異所性静脈瘤と診断し治療を行ったのは40例である.今回は膀胱静脈瘤3例について超音波ドプラ所見を中心に報告する.
【症例】
膀胱静脈瘤3例の基礎疾患は肝硬変1例,肝癌合併肝硬変1例,特発性門脈圧亢進症1例である.3例中2例は腹部手術既往があった.また,いずれの症例も食道・胃静脈瘤の治療歴があった.1例は血尿が診断の契機になった.診断には膀胱内視鏡検査,CT,超音波カラードプラなどが有用である.超音波カラードプラは東芝Aplio XV,3.5MHz convex型プローブを使用した.膀胱に尿を貯めた状態で体表から観察した.Bモードでは膀胱前壁に低エコー管腔像を認め,カラードプラで観察すると明瞭な血流信号が描出され,FFT解析では定常性血流を示した.治療は経皮経肝的塞栓術を2例に行った(待機的治療1例,予防的治療1例).超音波カラードプラは治療効果判定にも有用であった.
【まとめ】
門脈圧亢進症に伴う膀胱静脈瘤はこれまでほとんど報告がなく,稀な病態である.膀胱静脈瘤の診断・治療効果判定に超音波カラードプラは有用であった.