Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般口演
消化器:肝・症例

(S408)

Sonazoid造影超音波検査およびEOB造影MRIが診断に有用であったFNHの3例

Usefulness of combination of Sonazoid-enhanced sonography and Gd-EOB-DTPA-enhanced MR imaging in the diagnosis of focal nodular hyperplasia

岩崎 哲也1, 今井 康陽1, 土本 雄亮1, 小来田 幸世1, 澤井 良之1, 井倉 技1, 福田 和人1, 関 康2, 宇戸 朋之2, 高村 学2

Tetsuya IWASAKI1, Yasuharu IMAI1, Yusuke TSUCHIMOTO1, Sachiyo KOGITA1, Yoshiyuki SAWAI1, Takumi IGURA1, Kazuto FUKUDA1, Yasushi SEKI2, Tomoyuki UTO2, Manabu TAKAMURA2

1市立池田病院消化器内科, 2市立池田病院放射線科

1gastroenterology, ikeda city hospital, 2radiology, ikeda city hospital

キーワード :

【背景】
限局性結節性過形成はdynamic MDCT,通常の腹部超音波検査では確定診断が困難なことが多い.CTHAは限局性結節性過形成の確定診断に至ることが可能とされているものの侵襲度が高い.今回我々はdynamic MDCTによって肝内に早期濃染される腫瘤を認め,肝細胞癌が疑われたものの,Sonazoid造影超音波検査およびEOB-造影MRIを施行することによって限局性結節性過形成と診断し得た3例を経験したので報告する.
【症例】
2例はスクリーニング目的および尿路結石の精査にてdynamic MDCTを施行したところ,肝内に動脈相で濃染され,平衡相でiso densityを呈する腫瘤を認め,肝細胞癌が疑われたため当院消化器内科を紹介受診となった.2例とも血液検査では,ウイルスマーカーおよび腫瘍マーカーを含めて明らかな異常なく,腹部超音波検査では肝内に辺縁不整なlow echoic noduleを認めた.Sonazoid造影超音波検査を施行したところ,同腫瘤はVascular phaseにて結節の中心部から辺縁へ車軸状の濃染及び血管構築を認め,Kupffer phaseにて結節全体は等エコーを示した.EOB-造影MRIを施行したところ,造影前でのT1,T2および拡散強調画像では指摘しえず,動脈相では濃染され,平衡相,門脈相,肝細胞相で肝実質と等信号を示した.以上から2例とも限局性結節性過形成と診断した.もう1例は糖尿病のスクリーニング目的でdynamic MDCTを施行したところ肝内に早期濃染し,平衡相でiso densityを呈する腫瘤を認めた.血液検査ではウイルスマーカーおよび腫瘍マーカーを含めて明らかな異常なく,腹部超音波検査では同腫瘤はモザイクパターンを示した.Sonazoid造影超音波検査を施行したところ,同腫瘤はVascular phaseにて均一に濃染され,Kupffer phaseにて結節全体は高エコーを示した.Sonazoid造影超音波検査でのVascular phaseにて車軸状の濃染及び血管構築を描出しえなかったものの,EOB-造影MRIを施行したところ,同腫瘤は造影前でのT1,T2および拡散強調画像では指摘しえず,動脈相では濃染され,平衡相,門脈相,肝細胞相で肝実質と等信号を示したため,限局性結節性過形成を強く疑った.定期的に画像評価を行っているが現在のところ,腫瘍径の増大なく経過している.
【結語および考察】
Sonazoid造影超音波検査はVascular phaseで血流を動的にとらえることができ,Kupffer細胞機能を評価できるため限局性結節性過形成診断の第一選択になると考えられた.ただ病変が深部にある場合等,Sonazoid造影超音波検査では車軸状の濃染及び血管構築を描出できないこともあり,その場合にEOB-造影MRIを併せることによって診断に至ることも可能ではないかと考えられた.