Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般口演
消化器:肝・症例

(S407)

Differential-THI(D-THI)を用いて経過観察中に新規検出された肝結節性病変の検討

Hepatic Nodular Lesions Detected by Differential-Tissue Harmonic Imaging (D-THI) during Follow-up Study

伝法 秀幸1, 窪田 幸一1, 宇賀神 陽子1, 斎藤 聡2, 竹内 和男3

Hideyuki DENPO1, Koichi KUBOTA1, Yoko UGAJIN1, Satoshi SAITOH2, Kazuo TAKEUCHI3

1虎の門病院分院臨床検査部, 2虎の門病院肝臓センター, 3虎の門病院消化器内科

1Department of Clinical Laboratory, Tranomon Hospital Kajigaya, 2Department of Hepatology, Tranomon Hospital, 3Department of Gastroenterology, Tranomon Hospital

キーワード :

【目的】
超音波検査装置の進歩により,肝内小病変の描出能の向上している.今回我々は,Differential-Tissue Harmonic Imaging (D-THI)を用いた超音波検査にて経過観察中,新規に検出された肝結節性病変について検討を行った.
【対象と方法】
2009年8月25日から12月28日までに,前回はD-THIを使用せず,経過観察の超音波検査を施行した1713例中,62症例(4%),80結節に新規の径5mm以上の肝結節性病変が検出された.結節径6〜32mm(中央値11.0mm).初回検査症例,前回指摘結節症例は除外.年齢30〜83歳(中央値68歳),男性35例,女性27例.使用機器はAplio XG およびAplio XV(東芝製),主に3.5MHzコンベックスプローブを用いて,D-THIにて超音波検査を施行.超音波検査間隔は6ヶ月未満36例(58%),6〜12ヶ月11例(18%),1年以上15例(24%).結節性病変の性状・存在部位,背景肝について検討した.背景肝のエコーパターンは肝硬変,脂肪肝,その他の3つに分類.結節の質的診断はソナゾイド造影エコー,ダイナミックCT,EOB-MRI,組織診断にて施行.
【結果】
①背景肝:背景肝のエコーパターンは肝硬変25例(40%),脂肪肝12例(19%),その他25例(40%)であった.慢性肝疾患合併は48例(77%)で,内訳はウィルス性34例(55%),脂肪肝12例(19%),アルコール性肝障害と自己免疫性肝疾患が各1例(2%).②結節性病変の性状:a)個数:単発52例(84%),多発10例(16%),b)結節径:6〜10mmが28例(45%),11〜15mmが17例(27%),16〜20mmが8例(13%),21mm以上が9例(15%).c)エコーレベル:低エコー39例(49%),等エコー7例(9%),高エコー34例(42%).③体表よりの深度:4cm未満が30例(48%),4〜8cmが21例(34%),8cm超が11例(18%).④質的診断:肝細胞癌18例(29%),粗大再生結節ないしはDysplastic nodule23例(37%),血管腫15例(24%),Focal fatty spared area4例(7%),限局性脂肪肝・FNH各1例(2%).血管腫とFNHはすべて脂肪肝・肝硬変パターン合併もしくは深部・浅部存在.肝細胞癌は存在部位に関係なく62%に肝硬変パターン合併.
【考察】
対象症例は慢性肝疾患合併例が主体で,40%が肝硬変であるため,肝細胞癌が29%を占めたが,以前から存在していたと思われる血管腫もほぼ同頻度で検出された.D-THIの高空間分解能,高penetrationにより条件不良が改善された結果と思われた.Focal fatty spared area,限局性脂肪肝も同様の理由で検出しえたと思われた.
【まとめ】
D-THIは結節性病変の検出に優れ,特に浅部・深部病変や背景肝が脂肪肝や肝硬変などの観察条件不良例で検出能が向上する.