英文誌(2004-)
一般口演
消化器:肝細胞癌
(S405)
造影超音波による血流定量化の試み 肝細胞癌に対するTACEの早期治療効果判定-
Quantification of blood flow using contrast-enhanced sonography: evaluation of transcatheter arterial chemoembolization for hepatocellular carcinoma
南 康範
Yasunori MINAMI
近畿大学医学部消化器内科
Department of Gastroenterology and Hepatology, Kinki University School of Medicine
キーワード :
【背景】
Sonazoidを用いた造影超音波検査は微細な腫瘍内血流を描出させ,肝腫瘍の診断や治療効果判定などに有用である.しかし,造影超音波検査では造影の有無やパターン分類がなされてきたものの,これらは定性的であって定量的評価でない.
【目的】
肝細胞癌に対する経カテーテル的肝動脈化学塞栓術(TACE)の効果判定として造影超音波にて腫瘍内血流の半定量化を試みた.
【対象・方法】
症例は肝細胞癌についてTACEを行った2症例(男:女=1:1)である.造影超音波検査は治療前と約5日後にSonazoidを用いてiU22(Philips)を使用し,データ解析はQLABにて行った.Sonazoidを0.01ml/kgで静注し低音圧で連続的に観察を行った.腫瘍内にROIを設定してTime intensity curveを描いた後にガンマ変量カーブフィッティングをして得られたパラメーターを比較した.
【結果】
α値(1/mean transit time)はいずれも治療後に低下(0.18→0.1,0.12→0.03)した.また,Time to peakも5.65秒,8.58秒から9.64秒,39.89秒にそれぞれ延長した.一方,同時期でのCT評価ではいずれもTE 2であった.
【結語】
CT値と異なりdBは絶対値でないなど造影超音波検査での血流定量化にはいくつかの問題点もあるが,精度の高いTACEの治療効果判定を行える可能性がある.造影超音波の血流定量化は新しい試みであり,今後の臨床的展開が期待される.