Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般口演
消化器:肝・治療

(S403)

肝癌に対するRVS併用RFAにおけるマーキング機能の有効性についての検討

The Utility of Marking Function in RFA Treatment of Hepatocellular Carcinoma with Real-time Virtual Sonography

恵荘 裕嗣, 坂本 梓, 石川 哲朗, 齋藤 澄夫, 西川 浩樹, 喜多 竜一, 岡部 純弘, 木村 達, 大崎 往夫

Yuji ESO, Azusa SAKAMOTO, Tetsuro ISHIKAWA, Sumio SAITO, Hiroki NISHIKAWA, Ryuichi KITA, Yoshihiro OKABE, Tohru KIMURA, Yukio OSAKI

大阪赤十字病院消化器科

Gastroenterology and Hepatology, Osaka Red Cross Hospital

キーワード :

【目的】
当院ではこれまで,肝細胞癌に対する超音波下RFAにおけるMulti-phase Real-time Virtual Sonography(MRVS)やSonazoid造影の併用およびその使い分けの有用性について報告してきた.しかしMRVSは腹部超音波画像との位置合わせにある程度の熟練を要する一面があり,Sonazoid造影の併用に比べるとまだ普及していない現状がある.今回我々は,MRVSに於いて,CT画像上で治療標的部位を三次元的にトラッキングし表示するマーキング機能を併用することで,その汎用性およびRFAの治療成績を向上させることができたため報告する.
【方法】
当院で2009年8月以降に施行した,MRVSにマーキング機能を併用したRFA計19例と,2008年1〜6月にMRVSのみを用いて施行したRFA計26例の,治療成績をR判定(腫瘍周囲のablative marginに着目し,広い方よりR3〜R0に分類する)に基づき比較した.
【成績】
2008年1〜6月に施行した(M)RVS併用下RFA26例の治療成績はR3:R2:R1:R0=3:9:10:4で,R2以上の凝固域が得られていた割合は46.2%であった.それに対し,マーキング機能を併用した2009年8月以降のRFA19例の治療成績はR3:R2:R1:R0=6:8:2:3で,R2以上の凝固域が得られた割合は73.7%に達しており,マーキング機能の有用性が示唆される結果となった.
【考案】
MRVSを併用しなければならないRFAはもともと治療困難例が多く,また術者の技量により治療成績が左右されていた側面があった.MRVSにマーキング機能を併用することによって,腹部超音波画像との位置合わせがより簡便になり,呼吸変動による影響も緩和されるため,治療標的部位を特定しにくい局所再発部の治療や,治療後の未凝固域の追加治療のための穿刺の際も確信を持って行うことでき,RFA治療成績の向上に繋がったと考えられる.
【結語】
肝癌に対するRVS併用RFAにおいて,マーキング機能を併用することはRVSの汎用性の向上およびRFAの精度向上において有用と考えられる.