山田 幸太, 佐野 隆友, 村嶋 英学, 市村 茂輝, 平良 淳一, 杉本 勝俊, 古市 好宏, 山田 昌彦, 今井 康晴, 森安 史典

Kouta YAMADA, Takatomo SANO, Eigaku MURASHIMA, Shigeki ICHIMURA, Jun-Ichi TAIRA, Katsutoshi SUGIMOTO, Yoshihiro FURUICHI, Masahiko YAMADA, Yasuharu IMAI, Fuminori MORIYASU

東京医科大学病院消化器内科

Department of Gastroenterology and Hepatology, Tokyo Medical University

キーワード :

【目的】
磁気センサーを用いて超音波の三次元データを保存し（3D超音波；3D-US），そのデータを参照しながらリアルタイムに超音波を行うことが可能となった．強力収束超音波（以下HIFU）は強力な超音波を1点に収束させ，非侵襲的に身体内部の目的部位の温度を上昇させる事が知られている．消化器領域では臓器の呼吸性移動，肋骨や胸骨の存在，消化管内のガス，治療時における皮膚熱傷等により，現在もその治療法の改善及び工夫が求められている．今回我々はHaifuning Gaoqiang Ultrasound Technology社製FEP-BY02を用い，8例の肝癌症例に対しHIFU治療を施行し，効果判定に3D-USを使用したので報告する．
【方法】
対象は8例の肝癌症例で，各1結節（左葉6例，右葉2例）で合計8結節に対して治療した．HIFU装置FEP-BY02の設定は，全例で上層のトランスデューサーを用い，治療部位はトランスデューサー中央に設置されたB-mode超音波診断プローブにより観察した．収束超音波の出力は500〜1800Wの間で調節し，診断用超音波画像でリアルタイムに観察しながら患者の呼気または吸気時にあわせて目標部位にHIFUを照射した．1回の照射回数は3〜5照射，照射時間は500〜1800msecとした．1例に対し2〜5セッションの治療を行った．効果判定に使用した超音波診断装置はGEヘルスケア LOGIQ E9で，磁気センサー付きのプローブを用いた．超音波造影剤はSonazoidとした．HIFU治療の前にVolume Navigation機能を用いて，治療前の3D-USを施行した．HIFU治療後に治療前の三次元データとリアルタイムにfusionさせ，さらにSonazoidを用いて造影した．
【成績】
8例中全例で治療域の血流欠損像を認め，治療効果を認めた．HIFU治療後，治療前に取得した三次元データとリアルタイムにfusionさせることで，治療効果の認められた部位を三次元的に認識することが可能となった．さらにSonazoidで造影すると，造影態度を立体的に捉えることが可能となり，治療効果の判定に有用であった．
【結語】
FEP-BY02によるHIFU治療は低侵襲で安全性が高く，今後肝癌治療における有用性が期待される．さらに3D-USを併用することで，正確な治療効果判定が可能となり，治療支援に有用と考えられた．