Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般口演
消化器:肝腫瘍・造影

(S399)

肝内小結節性病変におけるソナゾイド造影エコー

Sonazoid Enhanced Ultrasonography of Small Hepatic Nodular Lesions

斎藤 聡1, 窪田 幸一2, 宇賀神 陽子2, 伝法 秀幸2, 竹内 和男3, 池田 健次1, 熊田 博光1

Satoshi SAITOH1, Kouichi KUBOTA2, Youko UGAJIN2, Hideyuki DENPO2, Kazuo TAKEUCHI3, Kenji IKEDA1, Hiromitsu KUMADA1

1虎の門病院肝臓センター, 2虎の門病院分院臨床検査部, 3虎の門病院消化器内科

1Department of Hepatology, Toranomon Hospital, 2Department of Clinical Laboratory, Toranomon Hospital Kajigaya, 3Department of Gastroenterology, Toranomon Hospital

キーワード :

【目的】
肝内小結節性病変の内,肝細胞癌は直径15mmを超えると特徴的な所見が高頻度にみられるようになり,他の画像診断でも確定診断がつけられる可能性が高い.しかしながらそれ以下では,質的診断には侵襲性の高い組織診断が必要なこともまれではない.そこで,結節径10mm前後の肝内小結節性病変に関するソナゾイド造影エコーによる質的診断の有用性について検討する.
【対象と方法】
過去2年間にソナゾイド造影エコーを施行した直径15mm以下の肝内小結節性病変236症例.1症例1結節につき検討した.未治療で直径は10mm以上の新規結節性病変とし,径10mm未満では境界明瞭な結節を対象とした.体表からの深度10cm未満存在結節とした.腫瘍径は6〜15mm(中央値12mm)であり,内訳は肝細胞癌(HCC)24結節,高分化型肝細胞癌(wHCC)34結節,血管腫22結節,転移性肝癌(meta)2結節,Focal fatty spared area(FFS)12結節,Dysplastic nodule(DN)12結節,A-Pシャント(APS)4結節,粗大再生結節(LRN)124結節.年齢は35〜82歳(中央値67歳),男女比152:84,基礎肝疾患は肝硬変154症例,慢性肝炎56症例,脂肪肝18症例,正常肝8症例.ソナゾイドは0.015ml/kgを静注し,超音波診断装置はAplioXG,XVにて,PS-lowモード,MI0.2-0.3,フォーカスを結節の下限に設定した.Vascular Phaseは,120秒までを間歇的に観察.高音圧でBurstし,再還流,MFIを適宜施行し,血流動態,結節内血管像を観察.10分以後にPost Vascular Phaseを観察.確定診断はダイナミックCT,EOB-MRI,アンギオ-CTの総合画像診断もしくは組織学的診断にて施行.
【結果】
1.血流動態:HCCはhypervascular 22/24(92%),isovascular 2/24(8%),wHCCはhypervascular 2/34(6%),isovascular 20/34(59%),hypovascular 12/34(45%),血管腫はfill in pattern 16/22(73%),hypervascular 4/22(18%),hypovascular 2/22(9%),DNはisovascular 10/12(83%),hypovascular 2/12(17%),LRN はisovascular 115/124(93%),hypovascular 9/124(7%),FNH・APS はhypervascular 2/2(100%),FFSはisovascular 12/12(200%),metaはリング状hyper 2/2(100%).2.MFI所見:バスケットパターンはHCCの25%でのみみられ,車軸状血管はFNHを含めてなし.高速fill in patternはhypervascular血管腫全例でみられた.3.Post Vascular Phase:①等エコー,②低エコー,③defectに分類すると,それぞれ,HCCでは①8%,②49%,③49%,wHCCでは①88%,②12%,血管腫では①36%,②59%,③5%,DN・LRNでは①96%,②4%,FNH・APS・FFS は①100%,metaは③100%.
【まとめ】
小型の肝細胞癌.転移性肝癌はほぼ質的診断が可能であった.血管腫も大部分は質的診断が可能であったが,一部肝細胞癌にきわめて類似するパターンがみられ注意が必要であった.一方,高分化型肝細胞癌とDN/LRNは鑑別には限界がみられた.