小来田 幸世¹, 今井 康陽¹, 関 康², 宇戸 朋之², 比嘉 裕次², 澤井 良之¹, 井倉 技¹, 福田 和人¹, 丸川 太朗², 高村 学²

Sachiyo KOGITA¹, Yasuharu IMAI¹, Yasushi SEKI², Tomoyuki UTO², Hirotugu HIGA², Yoshiyuki SAWAI¹, Takumi IGURA¹, Kazuto FUKUDA¹, Tarou MARUKAWA², Manabu TAKAMURA²

¹市立池田病院消化器内科, ²市立池田病院放射線科

¹Department of Gastroenterology, Ikeda Municipal Hospital, ²Department of Radiology, Ikeda Municipal Hospital

キーワード :

【目的】
肝細胞癌（HCC）検出・診断において，スクリーニング検査としての超音波検査に加え，Sonazoidを用いた造影超音波検査の有用性が報告されている．一方，肝特異性造影剤であるGd-EOB-DTPA（EOB）が臨床応用可能となり，早期肝細胞癌の検出に有用であることが明らかになりつつある．今回，HCCおよびdysplastic nodule（DN）おいてSonazoid造影超音波検査とdynamic MDCT，EOB-MRIによる検出率を比較し，HCC検出・診断におけるSonazoid造影超音波検査の位置づけを検討したので報告する．
【方法】
1）CTHA/CTAP，follow-up CTおよび一部は組織学的に診断した多血性HCC103結節において，Sonazoid造影US Vascular phase，dynamic MDCT動脈相の検出率を比較した．2）乏血性HCC23結節（組織学的に診断）を含むHCC75結節およびDN6結節においてSonazoid造影USとEOB-MRIの検出率を比較した．超音波検査はGE社製Logiq7を使用し，Sonazoid 0.0075ml/Kgをbolus静注し，Kupffer phaseは30分以降で評価した．EOB-MRIは造影前，dynamic study撮像後，肝細胞相は20分後に撮像した．
【成績】
1）CTHA/CTAPにて診断した多血性HCC癌103結節中，早期濃染を認めたのは，MDCTで90結節（87％），造影超音波Vascular phaseで91結節（88％）であった．腫瘍径別の早期濃染の検討では，10mm未満でMDCT67％（12/18結節），造影超音波Vascular phaseで6％（11/18）であった．10mm以上20mm未満55結節の早期濃染は，MDCT 87％，造影超音波Vascular phase 93％であり，20mm以上50mm未満33結節では，MDCT 100％，造影超音波Vascular phase 97％であった．2）Sonazoid造影USとEOB-MRIの比較では，多血性HCC52結節中，早期濃染を認めたのは造影US Vascular phaseで46結節（88％），EOB-MRI動脈相で44結節（85％）であった．造影US Kupffer phaseとEOB-MRI肝細胞相の比較では，多血性HCC52結節中造影US Kupffer phaseでは46結節でdefectを示し，EOB-MRI肝細胞相では48結節に低信号を認め，2結節は高信号を示した．一方，乏血性HCC 23結節では，造影US Kupffer phaseでdefectとして検出しえたのは3結節（13％）であったのに対し，EOB-MRI肝細胞造影相ではEOBの取り込み低下を示したのは21結節（91％）と高い検出率を示した．DN6結節では造影US Kupffer phaseでは全結節defectを示さず，EOB-MRI肝細胞相では2結節で淡い低信号となった．
【結論】
Sonazoid造影超音波検査は多血性HCCに診断に優れ，早期肝細胞癌の検出はEOB-MRIが優れていたが，DNでも淡い低信号を示す結節がみられ，特異的ではなかった．早期肝細胞癌を含めた肝細胞癌の診断において，Sonazoid造影超音波検査とEOB-MRIを組み合わせは非侵襲的で極めて診断能が高いと考えられた．