Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般口演
消化器:手法

(S396)

肺癌に対するSonazoid造影超音波検査の臨床応用第2報

The clinical application of enhanced US using Sonazoid to lung cancer〜the second report〜

浜崎 直樹1, 今井 照彦1, 北村 友宏1, 柴 五輪男1, 空 昭洋2, 林田 幸治2, 吉田 和弘2, 3, 鴻池 義純3, 平井 都始子4, 木村 弘5

Naoki HAMAZAKI1, Teruhiko IMAI1, Tomohiro KITAMURA1, Iwao SIBA1, Akihiro SORA2, Kouji HAYASHIDA2, Kazuhiro YOSHIDA2, 3, Yoshizumi KOUNOIKE3, Toshiko HIRAI4, Hiroshi KIMURA5

1済生会奈良病院内科, 2済生会奈良病院臨床検査部, 3平成記念病院内科, 4奈良県立医科大学中央内視鏡部・超音波部, 5奈良県立医科大学内科学第二講座

1The Department of Internal Medicine, Saiseikai Nara Hospital, 2The Department of Clinical Laboratory, Saiseikai Nara Hospital, 3The Department of Internal Medicine, Heisei Memorial Hospital, 4The Department of Endoscopy and Ultrasound, Nara Medical Univercity, 5The second Department of Internal Medicine, Nara Medical Univercity

キーワード :

【はじめに】
我々は2008年より胸膜下の原発性および転移性肺癌に対してSonazoid造影超音波検査を施行している.CPIモードとCHAモードの2段階造影法を施行し,CPIモードでは腫瘍染影を評価し,CHAモードで腫瘍血管構造の評価をしている.超音波診断装置はLOGIQ7で,使用探触子はコンベックス型の4C(送信2MHz,受信4MHz)を使用した.
【対象】
原発性肺癌(扁平上皮癌)4例,転移性肺癌4例でいずれも気管支鏡,US誘導下生検,胸腔鏡下生検で診断された.転移性の原発巣は子宮体癌2例,甲状腺癌1例,大腸癌1例である.
【方法】
肝転移の検索でsonazoid造影超音波検査を施行するときにSonazoid0.075ml/kgでone shotで投与し低MI値(0.2)のCPI(Coded phase inversion )モードで胸膜下病変を観察した.10分後に肝臓を観察し,その後0.075mg/kgのSonazoidをone shotし高MI値(1.2)のCHA(Coded Harmonic Angio)モードで観察する二段階造影法を用いた.CPIモードでは染影の程度を0,Ⅰ,Ⅱ,Ⅲの4段階に分類した.すなわち0は濃染なし,Ⅰは血流信号に沿って増強,Ⅲは病巣全体が濃染,ⅡはⅠとⅢの間とした.判定時期は1分まで,3分後,5分後,10分後とした.
【結果】
前回と同様CHAモードでは,時間および空間分解能の高い詳細な腫瘍血流信号が得られた.特に子宮体癌と大腸癌からの転移巣は腫瘍血管構造が明瞭に表示された.CPIモードでは8例中1分後に2例でⅢの強い染影が得られ,3例でⅡの中等度の染影が得られた.内訳はⅢは転移性肺癌1例(大腸)と肺扁平上皮癌1例で,Ⅱは転移性肺癌2例(子宮)と肺扁平上皮癌1例であった.10分後は,5例でⅠの弱い染影が得られ4例が転移性肺癌(大腸,子宮,甲状腺)で1例が肺扁平上皮癌であった.また濃染は全例で時間とともに軽減し,10分後には8例中3例でもとの状態に戻った.
【考察】
原発性肺癌においてはCHAモードできわめて詳細な腫瘍血管構造を表示することができた.CPIモードでは,腫瘍濃染が得られたが,転移性肺癌に比べて血流も染影も弱かった.また腺癌や大,小細胞癌がないためさならる検討が必要である.移性肺癌でも,CHAモードできわめて詳細な腫瘍血管構造を表示することができた.またCPIモードでも豊富な腫瘍血管と濃染とその持続する症例が多かった.症例を重ね原発疾患による特徴を示し鑑別につながるよう検討していきたい.腫瘍肺組織にはKupper細胞が存在しないが,肺の網内系細胞として肺マクロファージが存在する.腫瘍濃染に差があるのは,腫瘍自体の組織的特性に加え,病巣内のマクロファージの関与が疑われるので今後検討していきたい.