吉田 昌弘¹, 田中 弘教^{1, 2}, 西村 純子¹, 松永 桃子¹, 奥平 久美子¹, 平山 秀男³, 山中 潤一⁴, 藤本 治朗⁴, 西口 修平², 飯島 尋子^{1, 2}

Masahiro YOSHIDA¹, Hironori TANAKA^{1, 2}, Junko NISHIMURA¹, Momoko MATSUNAGA¹, Kumiko OKUDAIRA¹, Hideo HIRAYAMA³, Junichi YAMANAKA⁴, Jiro FUJIMOTO⁴, Shuhei NISHIGUCHI², Hiroko IIJIMA^{1, 2}

¹兵庫医科大学超音波センター, ²兵庫医科大学内科・肝胆膵科, ³持田シーメンスメディカルシステム株式会社マーケティング部, ⁴兵庫医科大学肝胆膵外科

¹Depertment of Ultrasound Imaging Center, Hyogo College Medicine, Hyogo, Japan, ²Depertment of Internal Medicine, Division of Hepatobiliary and Pancreatic Disease, Hyogo College Medicine, Hyogo, Japan, ³Marketing Division, Mochida Siemens Medical Systems Co.,Ltd, ⁴Depertment of Surgery, Division of Hepatobiliary and Pancreatic Disease, Hyogo College Medicine, Hyogo, Japan

キーワード :

【目的】
Acoustic Radiation Force Impulse　（ARFI） を用いて，組織の硬度を測定するVirtual Touch Tissue Quantification（VTTQ）法を用い肝の代表的な腫瘍性病変である肝細胞癌，肝血管腫，転移性肝腫瘍について有用性を検討した．
【対象・方法】
VTTQ法を施行した肝腫瘍性病変26例26結節（肝細胞癌 13結節，肝血管腫 6結節，転移性肝腫瘍 7結節）を対象とした（男性　17例，女性　9例　平均年齢　61歳）．腫瘍は，各種画像診断ならびに組織学的結果に基き診断した．測定は腫瘍内に1cm2のROIを設定し，せん断性波速度（Vs値）を3〜5回測定，平均値を求めて測定結果とした．超音波診断装置は持田シーメンス社のACUSON S2000を使用した．本検討は院内倫理委員会の承諾を得ている．
【結果】
肝腫瘍性病変の平均腫瘍径はそれぞれ肝細胞癌：径32±18mm，肝血管腫：径21±12mm，転移性肝腫瘍：径21±5mmであった．腫瘍部と非腫瘍部のVs値（m/s）を比較すると肝細胞癌：1.31±0.34，1.82±0.57，肝血管腫：1.09±0.07，1.17±0.08，転移性肝腫瘍：3.12±0.68，1.10±0.14，であり，Vs値は肝細胞癌と肝血管腫は周囲肝より低く（やわらかく），転移性肝腫瘍では高い（硬い）傾向を認めた．肝細胞癌のVs 値を腫瘍径3cm未満と3cm以上のもので比較すると，腫瘍径3cm未満では1.42±0.37，3cm以上のものは径1.15±0.24 と，Vs値は腫瘍径3cm以上では低値となる（やわらかい）傾向を認めた．
【結語】
ARFI測定値は肝腫瘍性病変の硬度を定量的に評価できる可能性が示唆された．