Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般口演
消化器:NASH・脂肪肝

(S389)

脂肪肝における超音波所見と肝生検組織像との比較

Association between B-mode ultrasonography images and liver histology in patients with fatty liver disease

乙部 克彦1, 竹島 賢治1, 高橋 健一1, 今吉 由美1, 丹羽 文彦1, 加藤 廣正1, 坂野 信也1, 熊田 卓2, 桐山 勢生2, 豊田 秀徳2

Katsuhiko OTOBE1, Kenji TAKESHIMA1, Kenichi TAKAHASHI1, Yumi IMAYOSHI1, Fumihiko NIWA1, Hiromasa KATOU1, Shinya BANNO1, Takashi KUMADA2, Seiki KIRIYAMA2, Hidenori TOYODA2

1大垣市民病院医療技術部診療検査科, 2大垣市民病院消化器科

1Department of Clinical Research, Ogaki municipal hospital, 2Department of Gastroenterology, Ogaki municipal hospital

キーワード :

【はじめに】
最近,肥満,糖尿病,高血圧,脂質代謝異常などの増加を背景として社会的にメタボリックシンドロームが注目を浴びている.メタボリックシンドロームに脂肪肝が高頻度に合併していると言われているが,脂肪肝の拾い上げ検査として超音波検査が最初に施行されることが多い.しかし,脂肪肝の超音波所見は特徴的であるが,その所見は客観性に乏しい.今回我々は,脂肪肝の超音波所見をスコア化し,肝生検組織診断と脂肪化について比較検討した.
【対象と方法】
2005年8月から2009年11月の間に超音波検査で脂肪肝が疑われ,肝生検がなされた80例である.内訳は単純脂肪肝26例,アルコール性脂肪肝1例,NASH(nonalcoholic steatohepatitis) 53例であった.使用超音波装置は東芝Aplio XVおよびXGを用い,肝生検がなされた翌日に超音波検査を行った.検討項目は,1.脂肪肝の超音波所見をBright liver,肝腎コントラスト,深部減衰,脈管の不明瞭化の4項目に分けスコア化(表1)し,肝組織の脂肪化面積と比較した.2.肝実質の評価(小さな斑状低エコーが散在しているかどうか)を行った.
【結果および考察】
脂肪肝の超音波所見のスコアは,肝細胞の脂肪化面積が大きくなればなるほど大きくなった(図1).脂肪化面積30%以上の症例にスコア3以下はみられなかった.また実質に小さな斑状の低エコーが見られ,不均一であったものは20例(25%)存在したが,組織診断ではすべてNASH症例であった.脂肪肝所見をスコア化することにより脂肪肝の程度が推測され,脂肪沈着の増減の経過観察にも有用と思われた.またウイルス性肝炎や自己免疫性肝炎などの肝疾患が除外できる症例で,肝実質が不均一で脂肪肝を伴うものはNASHを強く疑うべきと思われた.