Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般口演
消化器:線維化診断

(S386)

ARFIとFibroScan 502による非侵襲的肝硬度測定の比較検討

Comparison of the non-invasive liver hardness measurement by ARFI VS FibroScan 502

杉岡 陽介, 岩井 友美, 鈴木 淳司, 揃田 陽子, 疋田 宏美, 横田 浩充, 池田 均, 矢冨 裕

Yosuke SUGIOKA, Tomomi IWAI, Atsushi SUZUKI, Yoko SOROIDA, Hiromi HIKITA, Hiromitsu YOKOTA, Hitoshi IKEDA, Yutaka YATOMI

東京大学医学部附属病院検査部

Clinical Labolatory, University of Tokyo

キーワード :

【目的】
慢性肝疾患における病期ステージの週末像は肝硬変であり,その過程で肝臓は線維化が進み発癌のリスクが上がると言われている.近年Transient elastographyを用いた肝硬度測定が種々開発され従来の肝生検に代わり肝線維化を外来にて短時間,非侵襲的かつ簡便に評価でき,慢性ウイルス性肝疾患の病態・病期をより肝特異的に推定し得る方法として有用とされている.今回我々は音響放射圧によって肝の微細な変化から肝硬度を測定するAcoustic Radiation Force Impulse(ARFI)を搭載したS2000(シーメンス社)とFibroScan502(EchoSense社)との比較検討を行ったので報告する.
【対象】
対象は2009年1月から2009年2月までにARFI,FibroScan502,および同日採血がなされ各種肝機能検査(AST, ALT, γ-GTP, ALP, ALB, TB, TP, Plt)がなされた慢性ウイルス性肝疾患患者62名(B型肝炎25名,C型肝炎37名)とした.全患者における,各測定値はARFI1.53(0.7-3.5), FibroScan116(2.3-42.8)kPa, AST42.0(17-109)IU/l, ALT42.6(13-117) IU/l, -GTP60.1(10-391)IU/l, ALP277(129-955)IU/l, ALB4.0(2.2-4.9)g/dl, TB1.2(0.4-15.9mg/dlPT96.1(24.2-100)%, Plt16.2(5.5-33.4) ×104 /μLであった.
【方法】
S2000は皮下3cm付近でROIまでの直線距離内に脈管や再生結節などのSOLが無い部分で固定し呼気時3回測定しその平均値を使用した.FibroScan 502は呼気時10回測定しその4分値とした,success rateは80%以上を採用した.測定部位はともに右葉全区域付近で安定した測定が出来る部位とした.
【成績】
ARFI値とFibroScan502との相関は,0.842 (P<0.001)と有意であった.更に各種血液検査との相関について解析したところ,AST0.671, ALT0.284, -GTP0.206, ALP0.248, ALB-0.511, TB0.344, PT-0127, Plt-0.621-0.687であった.
【結論】
ARFIによる肝硬度測定はFibroScan502と有意な相関が認められた.FibroScan502のように肝硬度のみの専用機器ではなくBモード画像で確認しながら特定部位を測定できるため簡便かつ測定部位の把握に優れており,測定可能幅がFibroScan502の肝表から6cm以上必要という厚みが0.5cmと大幅に縮まった事により,ピンポイントでの測定が可能となり今後さらに他臓器への応用も期待される.ただし,測定レンジ幅がFibroScan502よりも狭いため注意が必要である.