Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般口演
消化器:線維化診断

(S384)

ASQを用いたびまん性肝疾患の検討

Valuation using ASQ(Acoustic Stucture Quantification) for chronic liver disease

塚田 幾太郎1, 森 秀明1, 關 里和1, 尾股 佑1, 本田 普久1, 峯 佳毅1, 西川 かおり1, 高橋 信一1, 岸野 智則2, 野辺 浩枝3

Ikutarou TSUKADA1, Hideaki MORI1, Satowa SEKI1, Yuu OMATA1, Yukihisa HONDA1, Yoshitake MINE1, Kaori NISHIKAWA1, Shinichi TAKAHASHI1, Tomonori KISHINO2, Hiroe NOBE3

1杏林大学医学部第三内科, 2杏林大学医学部臨床検査医学, 3東芝メディカルシステムズ株式会社西東京支店

1The Third Department of Internal Medicine, Kyorin University School of Medicine, 2Department of Laboratory, Kyorin University School of Medicine, 3Nishitokyo, Toshiba Medical Systems Co.,Ltd.

キーワード :

【目的】
びまん性肝疾患に対する組織性状診断法としては,今までにTransient Elastography(FibroScan)やReal-time Tissue Elastography,ARFI(Acoustic Radiation Force Impulse) などの手法が実用化されている.今回我々はスペックルの性状を統計的に処理し,その定量化を目的に開発された東芝メディカルシステムズのASQ(Acoustic Stucture Quantification)を用いて下記のような条件で,肝組織の定量評価がどのように変化するかを検討した.
【対象と方法】
対象は慢性肝炎,肝硬変,脂肪肝などの肝障害患者で,装置は東芝メディカルシステムズAplioXGである.ASQの検討項目は,①ROIの深さによる比較,②ROIの数による比較,③フォーカスポイントの深さによる比較(体表から4cmと8cm),④測定部位による比較(右肋間走査と心窩部縦走査),⑤肝と脾の測定値の比較,⑥肝と右腎の測定値の比較である.
【結果】
ROIの深さによる比較では,浅部における測定値の方が深部における測定値と比べて高い値を示す傾向にあった.ROIの数による比較では,画面に描出される肝全体を1カ所として測定した場合は,血管などの構造物を避けて複数に分割したROIを設定した場合より測定値が高い値を示す傾向にあった.フォーカスポイントの深さによる比較では体表から4cmフォーカスと比べて,8cmフォーカスの方が測定値が低値を示す傾向にあった.測定部位による比較では,心窩部縦走査では個体によって描出される肝左葉の大きさが異なるため設定可能なサンプル数に差がでることや測定範囲に血管が描出されることによる影響がみられたが,測定値のばらつきは少なかった.また測定値が高値な例ほど心窩部縦走査と右肋間走査での測定値のばらつきが多かった.脾に関しては,肝の測定値の高低にかかわらず測定値に差はみられなかった.腎臓に関しては測定値にばらつきが目立つ例がみられたが測定値としては個体差は少なかった.以上から肝/脾測定値は肝の測定値が反映されていた.同様に肝/右腎測定値は肝/脾測定値と同様に肝の測定値が反映されていた.
【結論】
ASQを用いて肝組織の定量評価を行う上では,ROIの深さや数,フォーカスポイントの深さ,測定部位の影響を考慮にいてれ検討する必要があると考えられた