Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般口演
消化器:線維化診断

(S384)

食事摂取前後における肝脾血流と硬度変化の検討

The change of vascurality and elasticity of liver and spleen before and after food intake

忽那 茂1, 広岡 昌史2, 小泉 洋平2, 木阪 吉保2, 古川 慎哉2, 阿部 雅則2, 村上 英広3, 松浦 文三2, 日浅 陽一2, 恩地 森一2

Shigeru KUTSUNA1, Masashi HIROOKA2, Yohei KOIZUMI2, Yoshiyasu KISAKA2, Shinya FURUKAWA2, Masanori ABE2, Hidehiro MURAKAMI3, Bunzo MATSUURA2, Yoichi HIASA2, Morikazu ONJI2

1愛媛大学医学部附属病院総合臨床研修センター, 2愛媛大学大学院先端病態制御内科学, 3愛媛大学附属病院光学医療診療部

1Postgraduate Clinical Training Center, Ehime University Hospital, 2Department of Gastroenterology and Metabology, Ehime University Graduate School, 3Endoscopy Center, Ehime University Hospital

キーワード :

【背景】
肝線維化の評価にFibroscanが有用であるが,Fibroscanの測定値は肝線維化以外の因子からも影響を受ける事が報告されている.Mederackeらは食事摂取前後において肝類洞内への流入血流量増加によりFibroscan測定値が変動することを報告している(Liver International 2009).演者らはReal time tissue elastography (RTTE)による硬度測定値に食事摂取が影響を及ぼすかに注目した.
【目的】
食事摂取前後における肝脾血流の変化とRTTEによる肝脾硬度の変化を解析することにより,RTTEによる硬度測定値が血流量により影響を受けるか否かを検討することを目的とした.
【方法】
対象はHCV抗体陽性の9例とhealthy volunteer 4例.そのうち男性11例,女性2例.年齢中央値は66歳(26-81歳).F1は1例,F2は2例,F3は1例,F4は5例.RTTEによる肝と脾の硬度を測定した.肝硬度は門脈の硬度/肝実質の硬度,脾硬度は脾静脈の硬度/脾実質の硬度とした.肝流入血流は右門脈1次分枝より,脾流入血流は脾門部脾動脈よりVmaxを測定した.測定前日の21時より初回測定時まで最低12時間絶食とした.肝脾血流と硬度測定は食事摂取前,食事摂取30分後,60分後,90分後に行った.測定値の変動を経時的に解析した.
【結果】
右門脈は食事前16.5±4.2cm/sで食後30分では21.9±5.1cm/sに有意に上昇し(P<0.0001),その後漸減した.肝硬度値は経過中有意な変動はなかった(P=0.642).脾動脈血流は門脈同様に食事前53.6±15.3 cm/sで食後30分で71.1±17.9 cm/sに有意に上昇したが(P<0.0001),脾硬度値は有意な変動はみられなかった(P=0.924).Healthy volunteerとHCV抗体陽性症例に群別した場合においても肝硬度値,脾硬度値ともに経過中有意な変動は無かった(P=0.996, P=0.995).
【まとめ】
RTTEによる硬度値はFiibroscanと異なり肝脾血流の変化による影響を受けないことより,より安定した線維化の評価が可能であることが示唆された.