Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般口演
循環器:症例3,その他

(S381)

診断報告書抄録作成の指導について -超音波検査士受験のためのレポート作成-

How to fulfill the patient report

石田 秀明1, 小松田 智也1, 古川 佳代子1, 渡部 多佳子1, 大山 葉子2, 長沼 裕子3, 紺野 啓4, 幕田 倫子5

Hideaki ISHIDA1, Tomoya KOMATSUDA1, Kayoko FURUKAWA1, Takako WATANABE1, Yoko OHYAMA2, Hiroko NAGANUMA3, Kei KONNO4, Mchiko MAKUTA5

1秋田赤十字病院超音波センター, 2秋田組合総合病院臨床検査科, 3横手市立病院内科, 4自治医科大学臨床病理部, 5大原病院臨床検査科

1Center of Diagnostic Ultrasound, Akita Red Cross Hospital, 2Department of Clinical laboratory, Akita Kumiai General Hospital, 3Department of Internal Medicine, Yokote City Hospital, 4Department of Clinical pathology, Jichi Medical School, 5Department of Clinical laboratory, Ohhira Hospital

キーワード :

【はじめに】
日常の超音波検査の中心的な役割を果たしている検査技師のレベルアップを目的として,日本超音波医学会では,1985年から毎年(年一度)超音波検査士認定試験を実施している.この試験は定着し最近では毎年2000人もの受験生がいるが受験資格に,”超音波診断報告書(超音波検査実績)”を20例に関して作成しなくてはならず,かなり手間がかかる受験資格であるとされている.この報告書は1例について2ページが割り当てられ,受験生が作成したものを学会の指導医(または専門医)が添削指導後サインをすることも義務つけられている.A)指導医としてこの制度にどう向かい合えばいいのか? B)どうすれば受験生に診断力向上に繋がる本当の力をつけさせることが出来るのか? C)問題点は何か?を長年指導をしてきた経験を検討し若干の知見を得たので報告したい.
【検討方法】
筆頭演者(HI)が直接腹部領域の報告書を添削指導したもののうち最近の90名に関し,a)添削が2回以下の群と3回以上の群に分け,認定試験の合格率を比較した.さらに,b)他領域をすでに受験した経験のある群と腹部領域が始めの受験科目であった群に分け,認定試験の合格率を比較した.(全対の合格率88/90:98%)
【結果】
a) 2回以下の群(7/9:78%),3回以上の群(81/81:100%),b)他領域をすでに受験した経験のある群(5/5:100%),腹部領域が始めの受験科目であった群(83/85:98%).なお,不合格であった2例は,腹部領域が始めの受験科目であり,添削指導が,本人の都合で1度だけ(1),2度(1)であった.
【まとめと考察】
最近どの学会でも“教育“が大きなテーマとなりつつある.今回検討した,“受験資格を得るための,超音波診断報告書の添削指導”という行為もその一環である.教育は極めて人間的な行為でどう切り込んでも明快な検討結果など出せないものであるが,質の良い検査を周知徹底させるためには持続させなくてはならないものである.上記の比較では表せなかったが,私自身,添削は受験生自身が,用語や表現の意味が理解できるまで何度でも繰り返し直接指導することを原則としてきた.この指導方法は指導者にとって時間的にも体力的にも大きな負担ではあるが,誤ったものではないことが上記の結果からある程度は示された.特に,超音波診断報告書の作成経験が無い場合は徹底した指導が必要と思われた.このことは逆に,学会として指導医をさらに養成し,指導医空白地帯を根絶する必要があると思われた.